歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

変わらないために日々変化する

今回は、心は存在しない 不合理な「脳」の正体を科学でひもとく(2024年)を読みました。

 

 

著者さんは脳の研究をされている研究者さんです。本書では、日本人の諸行無常の考え方、変わっていくことこそが本質で、常に一定の自分などいないということを説明しています。特に気になった、知覚の話をまとめたいと思います。

 

 

味覚

舌を構成する味細胞は2週間で入れ替わると言われているそうです。それでも、私たちには味覚がありますよね?それは、脳が食べ物それぞれの味を記憶しているからに他なりません。

脳細胞や心臓の細胞を除けば、私たちの身体の細胞は10年前のものとは入れ替わっているそうです。つまり、細胞を構成する原子や分子レベルでいえば、もはや私たちは別人だというとです。

脳には24時間、常に様々な情報が電気信号として入ってきます。五感だけではなく、平衡感覚、固有感覚(自分の身体がどこにあるかという感覚)、内受容感覚(胃腸や心臓などの臓器のはたらき)を頭蓋骨に覆われた暗い中でじっと待っているのが脳だということでした。

 

 

視覚

 

過去記事「暇と退屈_2」でも環世界という話を学びましたが、3歳半の時に化学薬品の事故で目が不自由になったマイク・メイの話も興味深い内容でした。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

彼は、目が不自由にもかかわらず、事業で成功したり、スキーのパラリンピックの選手に選出され、メダルを獲得するなど輝かしい功績を持っていました。彼は46歳の時に、角膜の幹細胞治療を受け、手術は成功したのですが、何も〝見えない〟と訴えたそうです。手術が失敗したのではなく、単に目に光が当たっても、それが何かを「知覚」することができなかったのだそうです。

「目に光がビュンビュン当たって、色々な像の砲撃を浴びせられている。突然視覚情報の洪水が襲ってくる。どうしようもない」

まさに、環世界を垣間見た気がしました。

私の祖母が補聴器が聞こえないと文句を言うのですが、専門家の方に言わせると、毎日使わなければ脳が音を認識できなくなるので、音量の問題ではないということでした。同じことですよね。

 

 

慢性的なストレス

 

唾液中のコルチゾールはストレスの測定に用いられます。副腎から放出されているコルチゾールは、長期的なストレスによる細胞の疲弊を防ぐためにエネルギー供給の指令を出したり、脂肪を分解したりして代謝を促進したりします。また、過剰な免疫反応を抑制し、抗炎症効果を発揮するなどの重要な役割も果たしています。

ところがコルチゾールが過剰になると細胞死を引き起こすそうです。慢性的なストレスにより、記憶に重要なはたらきをする「海馬」の細胞が減少し、海馬全体の萎縮が起きることが知られているそうです。

脳は、すべての情報を知覚するわけではなく、必要な情報を取捨選択して、変化が大きく特に注意が必要な情報だけを選別しています。慢性的なストレスによって、辛い記憶を捨てようとしているというのは、なんて合理的で恐ろしいのだろうと思いました。

 

 

まとめ

 

本書の最後のほうに書かれていた、AIにはAIの環世界があるという話には、妙に納得してしまいました。環世界という考え方は、他人には見えているものが違うかも知れないという気づきとともに、人間関係を良好にすると思います。

また、私たちは常に変化し続けているけれど、それは、変わらないための変化なのだという話は、ストンと腹落ちしました。日々変化しながらも、より良く生きていきたいなと思いました。

 

ぺにょは、イラストACに歯科のイラストを投稿しているよ~!
無料イラスト【イラストAC】