今回は、「僕は、死なない。 全身末期がんから生還してわかった人生に奇跡を起こすサレンダーの法則」(2020年)を読みました。
タイトルの通り、著者さんは肺の末期がんで全身に転移した後に寛解したということで、それまでの経過を細かく書いています。医学的には、遺伝子検査で100%適合する分子標的薬があったと説明できるわけですが、それだけではない、心の持ち方も学びになったので、まとめたいと思います。
不整脈で病院を受診した著者さん。肺がんが見つかったときはすでにリンパに転移しており、ステージ4と診断されます。そこで言われた5年生存率は3割で、手術は不可能、抗がん剤治療か治験への参加を説明されます。分子標的薬の適応となるEGFRという遺伝子変異も陰性。ALKという遺伝子変異は非小細胞肺がんの約2〜5%にしか見られないそうで、希望は薄いと説明されました(のちに、この遺伝子変異が100%だったと判明します)。

最初は特に症状がない状態でがんが発見されており、「死ぬ」という実感が持てない中、だんだんと医者の言われた通りの症状が現れてきて、私まで胸が苦しくなっていきました。
著者さんは、様々な病院でセカンド・オピニオンを行い、抗がん剤治療も治験も断り、代替医療に希望を求めます。過去記事「経済合理性と医療事情」を読んだばかりだったので、心の中で「サプリはダメ!」「それは怪しい!」と叫びながら読みました。具体的には、陶板浴、肉や調味料を使わない極端な食事療法、各種サプリメント、気功?のようなものです。
そして、案の定、脳や全身のいたるところにがんが転移し、咳が止まらず、血痰が出て、脳への転移も危惧する症状が現れます。すべての薬品を絶っていたのですが、痛みに耐えられなくなり、痛み止めも飲むようになります。
がんになってから、様々ながんサバイバーの本を読んだそうです。過去記事「アニータ・ムアジャーニの臨死体験」の本も読まれていました。
そして、私も何度となく学んできた「ポジティブであること」を実行しようとします。誰に会っても「僕は死にませんよ。絶対に治します。」と言い、ネガティブなことは考えないようにします。
しかし、後から振り返って述べていますが、それは、ポジティブとネガティブの振り子状態だっただけで、夜になると強烈な不安が押し寄せてきていました。
東洋医学で肺がんは「悲しみ」なのだそうです。少し調べてみると、他の臓器と感情との関係は以下のようなものでした。
- 肝臓は「怒り」
- 心臓は「喜び」
- 脾臓は「思い悩む」
- 肺臓は「悲しみ」
- 腎臓は「恐れ」
カウンセリングを通して、自分は父親に対して深い「悲しみ」を持っていたことに気づき、脳転移の放射線治療のために東大病院へ入院する直前、直接父親にそれをぶちまけます。その頃から、ルイーズ・ヘイの言うインナー・チャイルドが何度も出てきて、対話をするようになります。
脳転移で入院した東大病院で、著者さんはすべてを手放します。本書のタイトルにある「サレンダー」(surrender)は英語で「降伏する」「放棄する」「引き渡す」「諦める」といった意味を持つ単語です。それまで言っていた「僕は死にません」という言葉が、生に執着し、不安が見え隠れしている言葉ではなく、心から、当然のように発せられるようになっていました。

そして、すべてのことが「引き寄せ」られているかのように起こり始めます。もちろん、一番大きなことは、ALKという遺伝子変異があることが判明し、しかも適合率が100%だったことです。
著者さんがこのがん体験を通して学んだことというのが、アニータさんと言われていることとほとんど同じなんですよ。自分は、がんのステージ4を体験するために生まれてきており、ただ生の流れを信頼し、身をゆだねればよい。目の前に展開される状況をそのまま受け入れ、そのときに自分ができることをできる分だけ、気楽にリラックスして行動すればよいのだということでした。
ちょっとうがった見方をする私は、著者さんはステージ4から生還する人生を選んできたかもしれないけど、多くの人は亡くなっているわけで、亡くなることを決めてきている人も多いということ?と思ってしまいます。とは言え、自分の病の原因となっている感情を手放すこと、サレンダーして気楽に、リラックスして過ごすことが良い効果をもたらしたのだと思います。やっぱり、病は気からですよね。

