歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

行動ゲーム理論

今回は、最後通牒ゲームの謎 進化心理学からみた行動ゲーム理論入門(2021年)を読みました。

 

 

この本、内容もめちゃくちゃ面白いのですが、論文の引用数がものすごい!そして、書いているのは授乳中の赤ちゃんを含めた3児を子育て中のママさん研究者なんですよ。「おわりに」を読んで、思わず「うわぁ〜」と声が出てしまいました。本当に全部面白くて、全部書きたいくらいなのですが、タイトルの最後通牒ゲームについてまとめたいと思います。

 

 

最後通牒ゲーム

 

最後通牒ゲームとは、資源(お金など)を分け合う際に、一方の提案者が配分を提案し、もう一方の受け手がその提案を受け入れるか拒否するかを決めるゲームです。世界中のいたるところで最も頻繁に行われてきた心理実験になります。

f:id:ddh_book:20250829222657j:image

Aさんに1,000円を渡し、このお金を隣にいるBさんと分けてくださいと言われます。分け方はまったく自由でどのように分けてもいいですが、Bさんが納得しなければ、1,000円は研究者に返さなくてはいけません。もし、あなたがBさんだったら、いくらならYESと言いますか?

 

 

 

ホモ・エコノミクスとは、(合理的)経済人、つまり、完全無欠の計算能力を駆使して迷わず最適な選択肢を選ぶ人です。略してエコンとも呼ばれます。

もしもBさんがエコンなら、1円でも手持ちのお金が増えるのなら、合理的には得をしているのでYESを選ぶはずです。しかし、私は500円なら「YES」と言いますけど、1円じゃあ納得できません。そうではありませんか?

f:id:ddh_book:20250829222706j:image

様々な民族で行われたこの実験から、人間はエコンではない、アノマリー(説明しきれない「変な」「異質な」事象)だということが判明します。

 

 

様々なバリエーション

 

冒頭にも書いたように、本書はものすごく多くの論文を引用していて、最後通牒ゲームの様々なバリエーションを知ることができます。ちょっと多すぎるので、興味を持たれた方は、ぜひ本書を読んでみてください。ワクワクが止まりません!

特に面白かったのが、目が人間の行動に影響を与えているという話です。目に見える点でもOKです。そして、これは、人間の狩猟採取時代から生き残ってきた進化心理学で説明できるということです。過去記事「感情の進化論」でも学びましたね。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

感情は進化の過程で培われてきたのだということが、本書からも理解できます。

 

 

ヒトは意図的な不公平を嫌う

 

そして、ヒトは意図的な不公平を嫌い、そんな相手を罰したいという強い欲求をもっているそうです。直接損をさせられたわけではない、ただ見ていただけの第三者による罰を、「第三者罰(third-party punishment)」といいますが、幼い3~4歳のこどもであっても、〝悪い〟ことをしたお友達には、たとえ無関係の自分も使えなくなってしまうとしてもおもちゃを使えなくするなど、コストのかかる罰を与えることが報告されているそうです。

これは、まさしく過去記事「攻撃欲の強い人」ですね。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

私たちヒトは、見知らぬ他者に対してでも共感できる生き物です。しかし、「あいつは悪い奴だ!」と思ってしまうと、そんな共感がなくなるどころか、他人の苦しみが自らの喜びや快感となってしまう(見えざる手(invisible hand))のだそうです。だからこそ生き残ってきた訳なのですが、「じゃあ仕方ないね」ではダメな気がします…。

 

 

まとめ

 

本書は引用数もすごいですが、謝辞で出てくる人の数もすごいんですよね。海外の研究者が書いた英語の翻訳本かと思うほど、いや、それ以上ですね。そして、本書を読めば、著者さんのワクワクも伝わってくるようです。楽しくてたまらないのは分かりますが、同じく三児の母としては、お子さんとの時間も大切にして、もっと休んでくださいねと言いたいです。

色々な面ですごい本なので、興味のある方はぜひ!