今回は、「翼、ふたたび」(2018年)を読みました。
この話自体は故稲盛和夫氏の著者で、知っていたのですが、それは稲森会長の目線での話だったんですよね。特に残されたスタッフがどういう思いだったのか、どんな行動をしたのかというのを知って、後半はもう、ずっと涙が止まりませんでした。本書は小説だということ、震災での話ではヤマト航空(小説内でのJAL)社員だけが取り上げられており美化されているだろうことは念頭に置きつつ、感動したことをまとめたいと思います。
経営破綻の原因は様々いわれていますが、経営破綻と同時に社を去った前社長の奮闘も知ることができます。破綻するのを必死に止めようとした前社長、破綻後の再建という重圧を担う新社長、そして会社を去る役員や人員整理で自ら退職していく社員。残された者も明日は我が身です。
会長が最初に役員に求めたのが、リアルタイムでの収支の可視化でしたが、やはり、各路線で収支を黒字化させること、赤字路線を作らないことが大事なのだということが分かりました。アメーバ経営ってやつですね。
次に、役員から順に職員の向かう方向を一つにするという会長直々によるリーダー研修です。これには、かなりの時間をかけて行われ、広報を通して全社員にも公開されました。経営破綻の前、航空会社と統合された関係で、社内では派閥ができており、社員間での交流もなく、それぞれバラバラだったようです。

「意識改革・人づくり推進部」で行われた社員研修では、部署もバラバラのメンバーをグループにして、1人20分の自己紹介(長い!)と本音で「採算性」について話合わせます。もちろん否定的な意見も多く出ますし、とあるマスコミからは「洗脳教育」だ、「古いネジを使っている」などと言われたことも強く影響します。しかし、希望退職には応じず残った社員たちです。自分たちの何が悪かったのかと自分のこととして捉え始め、ますます自分たちの会社を良くしたい、絶対に二次破綻はさせないと、全員が同じ方向を向くようになっていきました。
やはり、一番心に残ったのは「人として正しいか」「人として何が大切なのか」ということです。私が経営者の中でも稲盛和夫氏や松下幸之助氏を尊敬し、心を動かされるのはこの視点です。「日本でいちばん大切にしたい会社」もそうですね。
各セクションの幹部たちが話し合い作ったフィロソフィーには一番目に社員の幸福追求が掲げられています。そのうえで、「お客様に最高のサービスを提供します」「企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します」という構図になっています。
これを社員全員に浸透させるというのは、本当に大変だったと思います。
そんな中、東日本大震災が起こります。仙台空港の1階は津波にのまれ、周辺から避難してきた人も含めて1580人が夜を明かします。きっとJAL職員だけが皆のために働いていたという訳ではないでしょうが、それでもダンボールを配ったり、水も出ないのに、海水(泥水)を汲み上げて糞尿で詰まったトイレを掃除したりと本当に献身的に一晩中働く様子が描かれます。

そして、空港が再開され、5歳の息子さんを津波で亡くした夫婦の搭乗。スタッフの声掛け、心遣いにもう涙が止まりません。人として何をするのが正しいのか、この言葉がズンズンと心に響きました。
小説中のある記者は、会長のことを「燃えかす」と言ったり、「コスト削減が安全性を脅かすのではないか」と言ってきて、再建を妨害するようなことを言いふらします。もちろんそのような意見もあるだろうし、目に留まりやすいために、経済合理性が働いているというのも分かります。でも、「人として大切なこと」を貫く方が、最上善を目指す方が、最高善に近づくし、私はそっちの生き方を選びたいと思いました。JALにはフィロソフィーを大切に守り、実行していって欲しいと心から思います。
☆ぺにょはイラストACで歯科のイラストを投稿しています!
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