今回は、「誤解だらけの日本美術~デジタル復元が解き明かす「わびさび」~」(2015年)を読みました。
著者さんは、美術品のデジタル復元をされている方で、その時代の流行や使用された塗料などを推測して、当時の発色を再現されているそうです。特に「風神雷神図屏風」の作者の違いについて書かれているのが面白いなと思ったので、まとめたいと思います。

俵屋宗達の風神雷神図屏風は国宝に指定され、今は京都国立博物館にあります。宗達は、江戸時代の町絵師であり、もともとは扇屋だったそうです。俵屋の扇はド派手が持ち味だったそうで、この風神雷神図も当時の色を復元してみると、ド派手でとても立体的な絵になります。屏風を立てたとき(折り曲げたとき)にその前に立てば、まるで映像作品のような配置であり、バロックのような余白なく埋める描画と違い、空間を広く使ってわびさびを表現しているということでした。

尾形光琳の風神雷神図屏風は、重要文化財であり、東京の東京国立博物館に所蔵されていて、琳派の代表作ともいわれています。同じ江戸時代の作品になりますが、三琳は宗達と同じ時代は生きておらず、弟子入りしたというわけでもありません。「透き写し」という手法で写したということでした。よく見ると、風神と雷神はどちらも横にらみし、目線が合っていますし、雷神がしっかりと画角に収まるように描かれています。
光琳は、俵屋宗達の芸術を「かっこいい!」と思い、独自の解釈を加えながら、宗立の表現手法を勝手にまねしたのだということでした。光琳の家は、着物や小物や陶器の意匠(デザイン)を手掛ける裕福な商家だったそうです。
雷神というのは、本来赤色が使われるそうです。しかし、風神雷神図の雷神は白色です。これには、中国の仏教遺跡が関連しているかもしれません。世界遺産にもなっている敦煌の莫高洞に古い阿修羅像が描かれており、その両脇に天空を疾走するように風神雷神が描かれているそうです。阿修羅が真っ赤だったため、風神が緑、雷神が白になったのではないかと著者さんは想像しています。
日本のキトラ古墳では東西南北の壁に、青龍、白虎、朱雀、北は玄武の四神(霊獣)が描かれているのが見つかっていますが、朱雀から見て東の青龍、西の白虎という位置関係でもありますね。なぜ白いんだろうなんて考えたこともなかったので、わくわくします。
そして、宗達の風神雷神図はよ~く見ると目線がかみ合いません。しかし、復元して、CGを使って屏風を立て、その真ん中に座ってみると、風神が雷神をにらみ、雷神と目が合い、そして自分が風神を見るという視線のトルネードが起きることに気づきます。
また、光源も当時の光源に近づける(蛍光灯の明かりではなく、ろうそくの明かり)にすると、派手だった金屏風が赤く染まり、トーンがひとつ暗くなって風神と雷神が前に飛び出し、宙に浮いて見えます。復元した本来の色で見るというのも、ぜひ味わってみたいです。
もう、どちらの風神雷神図屏風も生で見たいし、復元したものもみてみたい!となりました。京都や東京に行く機会があれば、検討したいです。また、本書では古墳の壁画を復元した話や阿修羅像の復元の話も書かれています。これも、とても面白いです。そして、デジタル技術で復元したということですが、出てくる言葉がPhotoshopなんですよね~私もフォトショ使うので、より楽しく、わくわくしました。このようなデジタル化が進めば、VRゴーグルで世界中の美術品が鑑賞できるようになるのかもしれませんね。
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