今回は、「影響力~その効果と威力~」(2010年)を読みました。
本書では、人間に対する影響力についてまとめてあり、要は、人間の行動変容はどんな時に起きるのかということです。著者さんは社会的な影響力を10個に整理しており、勉強になったし、歯科衛生士の仕事にも役立つと思ったので、整理しておきたいと思います。

この2つは、飴と鞭による影響力のことです。これは、イメージしやすいですね。
賞影響力に含まれる、「お返し(返報性、互酬性、互恵性)の原理」はかなり強力に私たちの行動を規定しています。また、もともと興味、関心のあった行動に対して賞を与え続けると、次第にその活動それ自体への内発的動機づけが低下してしまうという事例も紹介されていました。
罰影響力には、ポジティブな罰(身体的・精神的攻撃)とネガティブな罰(賞を取り上げる)があります。罰影響力において最も効果的なのは、「罰の警告」であり、代理罰(他者が罰せられているのを見る)というのも効果があるそうです。
この二つは、両者が組み合わさることによって、より大きな影響力を持ちます。
専門影響力というのは、医師や弁護士といった専門家に対する影響力です。専門家の書籍が私たちに多大な影響を与えていることは過去記事「ニセ科学」でも学びましたが、アマラとカマラの「オオカミ少女」の話がウソだったというのはびっくりしました。
また、社会的な規範や制度に基づいて形成された影響力のことを正当影響力といいます。正当影響力を利用して、非常に統制の取れた集団行動を生み出すことができる一方、メンバーが社会的規範を認めなくなると、簡単に消失してしまうということでした。まさに、過去記事「フィリピンで見た日本の敗因」ですね。ミルグラムの電気ショックを使った権威実験はこの影響力の大きさを示しています。

自分がポジティブに評価している人から、間接的に影響を受ける場合を参照影響力、そして、直接的に影響を受ける場合を魅力影響力と呼びます。参照影響力というのは、憧れの人を真似るということですね。魅力影響力とは、好きな人からの頼まれ事は二つ返事で受けるということです。
より長く一緒にいること(単純接触効果)や外見が良い、自分に似ているところがある、相手が自分に対して好意的というのも影響を与えているそうです。
情報影響力とは、要するに論理的に説明して「説得する」ということです。話の組み立て方も大事で、話の最初や終わりが印象に残りやすいかといった、初頭効果、新近効果なども取り入れたり、I(私)メッセージを用いるなど、提示方法を工夫することで受け手の応諾を引き出しやすくなるということでした。
対人関係影響力とは、コネクション(コネ)に基づく影響力のことです。親の七光りなどかそうですね。

共感喚起影響力とは、言わば、「捨て身の影響力」になります。自分が陥っている苦境を率直に、効果的に提示し、相手の憐憫の情に訴えて、自分を支援してくれるよう働きかける方法です。
役割関係影響力とは、社会的に認められている役割関係(権利など)に基づいて、相手に要求することです。正当影響力との違いとしては、影響を与える側に高い地位や資格といった資源はなく、社会的には影響力の小さい側に立たされているという点が挙げられます。
さらに、相手の行動を変えようという意図はないのに影響を与えてしまう現象についても整理しておきます。
- 社会的促進…簡単な作業なら、周りに人がいるほうが成績が良く、苦手作業では人が見てると成績が下がる
- 社会的手抜き…過去記事「ビジネスケアラー」でも紹介した綱引きの実験です
- もれ聞き効果…見知らぬ人たちの会話をたまたま漏れ聞いてしまい、その会話内容に影響されてしまうという現象
- 行動感染…人の行動をまねる。ミラーリングかな
- 情動感染…人の情動(感情)が移る。もらい泣きなど
- 社会的証明…「数多くの人がやっていることだから、それは社会的に正しいことであり、正しいと証明されているに違いない」と判断すること
このほかにも、本書では、集団の空気による影響や無意識下での影響についての研究結果もまとめてあります。よくワイドショー(実母の家に行くといつもTVがついている)などで社会的影響が大きいなどと言いますが、今度からは、どの影響力かな?と分析してみたいと思いました。
また、自分の行動が、何のどんな影響を受けたものなのかも考えてみるのも面白いですね。そして、影響力を悪用した詐欺にはひっかからないように気をつけたいです。
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