今回は、「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい」(2013年)を読みました。
マニュアルの整備について、歯科衛生士の仕事にも当てはまるよなと思ったので、整理したいと思います。

本書の著者さんは、無印良品が38億円の赤字を出した時に社長に就任し、リストラなどを進めつつ、3期連続の過去最高益を実現した2008年に代表取締役会長に退いたという方です。本書では、リストラについてはあまり触れられず、どう旧態依然の体制を改革していったのかという点について書かれています。以前の無印良品は、セゾンから経験と勘を重視しすぎる体質を受け継いでいたそうで、変化の早い時代に、本部からの通達が行き渡り実行されるまでに1週間くらいかかっていたそうです。
この体制を改革するのに一躍買ったのが、マニュアルの作成でした。
最初、毎月更新されている「しまむら」のマニュアルを真似して作ろうと始めたそうですが、業態や風土が異なりうまくいきません。そこで、仕組みづくりを一から始めます。「顧客視点」と「改善提案」の二つを柱に、現場で働くスタッフからの意見を吸い上げ、エリアマネージャーが選別し、本部に上げる体制にしました。
そして、マニュアルには新人でも分かるよう、「それぐらいみんな知っている」ということを全て言語化したそうで2000ページあります。洗濯の例がわかりやすかったので引用しますね。
「洗濯」とは
何:家族の着た洋服を洗濯機で洗う家事
なぜ:家族に清潔な洋服を着てもらうため
いつ:毎朝または毎晩
誰が:月、水、金は○△、火、木、土、日は○△
このように「洗濯とは何か」をはっきりさせてから、「洗濯の手順」を考えます。ただ「洗う」と表記するのではなく、「シャツ類は色物と白いものを分ける(色移り防止のため)」など注意すべき点を挙げると、迷うことなくスムーズに作業できます。
そこまでする?という感じですね。しかし、これにより、あらゆる仕事の「うまくいく方法」を標準化することができ、写真も加えて誰でもできるようにしているということでした。経営に関する内容も業務基準書があり、6608ページもあり、随時更新しているということでした。

もちろん、このような改革には不満を持つ人も現れます。「社員全員の心を一つにしよう」とスローガンを掲げるより、同じ作業を全員でやるほうが、自然と心はそろっていくというのが著者さんの考えで、リーダーが決断・実行することが大事だということです。
また、改革の反対勢力を染め上げる方法として、あえてマニュアル作りの委員に入れ、責任者として、積極的に作成に関わらざるを得ない状態にしたそうです。このようなゆでガエル作戦は、メンバーに痛みを感じさせずに改革を実行できるということでした。

また、小学校かよ!とツッコミたくなるような話もありました。朝から役員がエレベーターホールに立ち、出勤してくる社員達に率先して挨拶をするという挨拶運動は、不良品の発生を大幅に防ぐという結果につながるそうです。
また、社長も部長も、全員さん付けで呼び合うというのは、双方向のコミュニケーションにつながり、現場からの情報が上がってきやすくなるそうです。
こちらに関しては、社風とはいえ、歯科医院に取り入れるのは微妙かもしれませんね。
また、当初無印では、どこの工場にどのくらい発注し、仕掛り品(製造途中の商品)はどの程度あって、完成品はいつ、どのタイミングで入荷するのか、処分はいつからどれくらいの割引率で行うのか―などの情報が、担当者しかわからない状態だったそうです。それを、一括で管理できるシステムをつくり、2000年に約55億あった在庫が、3年後に約18億にまで圧縮されたそうです。
他にも、商談のメモや会議の議事録も部署内全員で共有するようになっていたり、名刺は課長が一括して管理するようになっているので、退職者や異動があっても、スムーズに仕事を引き継げるということでした。
とにかく、何でも見える化して、誰でもできるという仕組みを作っているということですね。
本書を読みながら、つくづく言語優位の方だな〜と感じました。同じ言語優位の人ならついて行けますが、過去記事「視覚思考」のような人には2000ページ読みなさいと言われた時点で、理解し難いのではないかと思います。
一方、無印良品のマニュアルは、歯科医院でも応用できる点があるのではないかと思いました。歯科治療は、個人個人で同じ治療内容でも異なる部分が多いし、言語化できない技術も多いと思います。しかし、基本的な流れってありますよね。既にマニュアルを作っている歯科医院も多いと思いますが、なぜするのかという点についてはあまり言語化されておらず、一考の余地ありと思います。
とはいえ、マニュアルを毎月更新するというのは、企業の血液を流すという意味で重要なのは理解しますが、診療の合間にするのは大変ですね…無印のように、スタッフの入れ替わりが多く、専用部署を作れるくらいの大きな歯科医院向けのやり方かもしれませんね。
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