今回は、「物語る(笑): (笑)それは千年の時を経て熟成されし、察しの記号。(笑)だけを追求したら一冊の本になりました(笑)」(2025年)を読みました。
最近は、明らかに「AIで書いたでしょ!」ていう、全く面白みもなく、勉強にもならない本が多いですよね。特にKindleは当たり外れが顕著です(AIで書くことを全て否定している訳ではありません。「AIを使って書きました」と書いてあっても、良いと思う本も存在します)。そんな中で本書はすごく面白かったので、私も使っている(笑)についてまとめたいと思います。
(笑)が生まれたのは、1980年代後半から90年代初頭にかけてのパソコン通信、インターネット初期の時代です。その後、2000年になると、インターネットの爆発的普及に伴い、掲示板や個人ブログやmixiといったSNSが台頭し、(笑)が多用されるようになりました。(笑)の特徴や意味は、以下のようなものです。
- そこに含まれる意味は読み手に委ねられている(感情の演出、冗談、優しさ、ツッコミ、皮肉、侮蔑など)
- 言葉の強さをやわらげるための感情のクッションになる
- 個人のキャラクター性や人柄までも表現する
- 絵文字やスタンプが登場してもなお、「わかってるよ」という文化的共感のしるしとして用いられる

確かに、(笑)には感情を伝えるだけではない効果があるなと気づきました。絵文字やスタンプがあっても、私も(笑)を使うので、(笑)の意味の曖昧さ、言葉のぼかし効果が、かえって使いやすいのかも知れないなと思いました。
2010年代以降、「w」が爆笑を示す記号として使われるようになりますが、「草」や「w」は、ややくだけた表現であり、相手や文脈を選ぶ必要があると著者さんは述べます。「(笑)」は、どこか礼儀正しく、照れを含んだ慎ましさを帯びており、「親しみはあるが、無礼にはなりたくない」という場面で、いまだに根強い支持を得ているということでした。

(笑)が礼儀正しいというのは、今まで思ったこともありませんでしたが、確かに、間違っても目上の人にwは使いませんね。(笑)は関係性と場面次第では使うこともあるよなと気づきました。
奈良・平安時代
『万葉集』や『古今和歌集』では、「笑み」「咲み(えみ)」「咲む(えむ)」という言葉で、直接的に「笑った」「可笑しい」と書くのではなく、気配としての笑いが、繊細に織り込まれているということでした。
また、「をかし」も面白み・趣き・滑稽さなど、人の心をくすぐる知的な感動を意味する表現として『源氏物語』や『枕草子』にたびたび登場します。
『徒然草』や『方丈記』に出てくる笑いは、人生を悟った者のみがたしなむ「含み笑い」のようなものでした。「なるほど」と膝を打つ知的な笑いや人生のはかなさの中にある「ふふっ」と微笑ませるような描写になります。
江戸時代
江戸時代に庶民に親しまれた笑いと言えば、『落語』です。川柳や黄表紙や洒落本などの読み物でも笑いが描かれましたが、「笑う」という行為そのものを説明するのではなく、言葉の選び方や順序によって、自然に笑いを誘う技を磨いたそうです。これは、「書かないことで伝える」日本語の美学であり、「(笑)」という記号とは正反対の方向にあると著者さんは述べます。
明治〜戦前
この時代の文学評論においてしばしば用いられるのが「諧謔(かいぎゃく)」です。意味は、しゃれや皮肉を込めた、上品で知的なユーモアということで、言葉そのもので笑わせるのではなく、言葉の選び方や間の取り方によって、読み手に「ふふっ」とほほ笑ませる技法が好まれました。
戦後の笑い
テレビの普及により、漫才やコント、そしてシットコム的なドラマにおいて、「間」や「ボケとツッコミ」といった笑いの形式が定着し、それに伴って言語もどんどん「軽妙」になっていきました。戦後の重い空気を脱した証として、「それな」「ウケる」などの口語的なリアクションが文字としても使われ始め、これが(笑)やwww、草に繋がっていったという訳です。
本書では、外国の(笑)の種類や使われ方もあり、それも面白かったです。また、(笑)は便利な表現だけど、あえてそれを使わずに読み手を微笑ませるというのも使えたらかっこいいなと思いました。落語は大好きなので、どんな風に聴衆を笑わせているのか、もう一度落語をよく聴いて、表現方法を学んでみようと思いました。
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