歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

ビジネスケアラー

今回は、ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち(2023年)を読みました。

 

 

この本は、全日本人が読んだ方が良いと思う本でした。ますます高齢化が進む日本にとって、働きながら親の介護が必要になる場面は多くの人に訪れると思います。その時にあたふたしないよう、事前に学んでおくことは重要です。特に大事だなと思ったことをまとめたいと思います。

 

 

ビジネスケアラーの現状

 

「ビジネスケアラー」とは、「働きながら介護をする人」「仕事と介護を両立している人」という意味です。経済産業省は2030年には家族介護者が833万人にのぼり、ビジネスケアラーが318万人になるとの予測を発表しています。ちょうど私の世代の多くが、どうやって仕事と介護を両立させるのか悩むことになるという予測です。

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この世代は兄弟姉妹も少なく、未婚率が高く、専業主婦も少ないという特徴があります。介護のために仕事を辞めた場合、年齢的にも再就職は難しく、再就職できても年収は男性4割、女性5割減少することも分かっています。また、介護期間は予測不可能であり、無収入のまま10年以上というのが現実的とは思えません。著者さんは、介護離職をしなくて済むよう、手立てを考えることが大事なのだと説明しています。

 

 

情報を得ること

 

介護に関する知識を「エイジング・リテラシーと呼ぶそうです。私は社会福祉士も持っていて、地域サロンのお手伝いもさせていただいているので、介護に関する知識(例えば、地域包括支援センターや要介護認定など)はある程度あります。しかし、介護離職する人の半分は誰にも相談していないという恐ろしいデータもあるそうです。

 

まずは地域包括支援センターや職場の上司、人事部に相談することが大切だということでした。さらに、信頼できる介護のプロを見つけて、介護保険だけでなく、行政独自のサービスや民間サービスの情報も集めます。ビジネスケアラーは、身体介護をプロに任せると、両立できる可能性が上がるそうです。

 

 

リンゲルマン効果

 

リンゲルマン効果(現象)は、過去記事「バレーボールに迷いは禁物」でも紹介した研究です。

ddh-book.hatenablog.com

綱引きをさせて引っ張る力を測定すると、1人で引いたときの力を100%とした時、2人では93%、3人では 85%、8人では49%まで低下していたというものです。「社会的手抜き」とも言われますね。

介護の場面でもこれが起きると著者さんは述べます。特に兄弟姉妹や親族の多い家族において、誰が介護をするのかとなった時、特定の一人が介護負担を引き受けると、他の兄弟は介護から手を引いてしまうというのは、容易に想像できます。著者さんは、あなたが介護を理由として仕事を辞めた時は、これまで介護に協力してくれていた兄弟姉妹や親族が介護から身を引いていく可能性を想定しておかなければならないと述べます。

本当にそうですね。

 

 

依存先を多く持つ

 

東京大学准教授の熊谷晋一郎氏(小児科医)は、「真の自立とは、その人が依存する先が複数に分散されており、ただ1つの依存先に隷属(奴隷化)している状態から自由であることだ」と述べているそうです。そして、著者さんも「依存先が複数に分散されてはじめて、人間はより自分らしく生きることが可能になる」と述べます。

これは、介護者、被介護者の両方に言えることです。介護を受ける側も家族に全て依存し、生殺与奪を握られているというような状態は不自由で不幸せですし、介護する側も様々なサービスや相談先がある方が楽に介護を続けられます。

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どちらが笑顔でいられるかは自明ですね。依存先を多く持つ方法の一つとして、介護者の家族会に行くことも有効だそうです。

 

 

介護パニック期

 

介護初期には、「介護パニック」という状態になるというのも知っておくと良いと思いました。介護の初期は、介護サービスに関する知識が足りないため、何もかも自分でやらなければならないと誤解します。そこに介護サービスに関する情報が入ってきて、混乱してパニックになるという状態です。

この時期は当然、冷静な判断ができません。この時期に離職を決断してしまうのは時期尚早ですし、介護休業( 一人につき93日、3回まで分割OK)などを取って、仕事と介護を切り離して考えた方が良さそうです。今は介護パニックの時期だから、と少し冷静になれるといいですね。

 

 

まとめ

 

本書はとにかく、エイジング・リテラシーを高めて、安易に離職してはいけない、親の介護は自分(子ども)がしなければいけないと思う必要はないということを何度も伝えています。本書の著者さんは母子家庭の一人っ子で、30年間母親の介護をしたそうで(もはや、ヤングケアラー…)、オランダで起業しながら日本の母親の面倒もみていたという強者です。

これから自分にもいつ介護が降りかかるか分からないなか、介護と両立できる仕事のスキルを身につける、プライベートでも相談できる介護のプロを見つけるというのは、早めに取り組むべきことだな思いました。

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