今回は、「最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか」(2023年)を読みました。
本書では三木谷氏の話ばかりでなく、ソフトバンクの孫正義、イーロンマスクの話などを比較として出てくるので、すごい人たちの生態というか、考えというか、何を見ているのかが少しだけ分かります。今回は、著者さんに「リスク中毒」と書かれてしまうような、楽天が賭けに出た仕事について、まとめてみたいと思います。
楽天モバイルは「携帯電話ネットワークの完全仮想化」というのを達成したそうで、本書を読んでも、Webで検索してもいまいちわからなかったので、ChatGPTに聞いてみました。

「携帯電話の大事な仕組みを、目に見えないクラウドの中にお引越しして、もっとかしこく、すばやく動けるようにすること」 ということで、これまでは、通信をコントロールするコンピューター、電話をつなぐ機械、お金の計算をする仕組みを大きなコア施設を作って管理しなければならなかったのですが、全部クラウドに入れてしまうことで、スマホの電波をつなぐために本当に必要なものだけ地上に置けばよいということになりました。これにより、
- 必要なときにすぐ新しいサービスを作れる
- お金や時間のムダが減る
- 地震や台風にも強くなる
というメリットがあるそうです。
それでも、基地局は作らなければならないため、その苦労話が本書にはたくさん書かれていました。楽天モバイルはこれらの設備投資により莫大な赤字を出しており、「空中分解する」なんて言われていたそうです。
しかし、この技術は世界初であり、ウクライナの戦争、チャイナ・フリー(中国依存を減らしたい)という各国の思惑という追い風もあるようでした。さらに、人工衛生から直接電話をつなげるようになれば、基地局も不要になり、国境もなく、災害や戦争にも影響されにくい、という話でした。う〜ん、すごいですね。
三木谷氏はもともと銀行マンだったそうです。私も楽天銀行を使っていますが、スマホだけで振込予約も税金の支払いもできて、本当に便利ですよね。
上記の赤字を支えていたのはグループの収益ですが、「楽天市場」などのインターネット・サービスが約50%、銀行やクレジットカードなどの金融事業が35%を占めるそうです。こちらも色々あったようですが、モバイルネットワーク事業を支える柱の一つとして機能しているということが分かります。
堀江貴文氏の大阪近鉄バファローズの買収も話題になりましたが、楽天はそのゴタゴタの中、新規参入として東北楽天ゴールデンイーグルスを設立しています。本書では、経営難のダイエーに代わり球団を買収したソフトバンクとは対比して書かれていました。球団を持つということは、ものすごい出費であると同時に、ものすごい知名度が得られます。三木谷氏は、孫氏と違い、金も出すが口も出すそうですよ。
「プロ野球に参入したときも、みんなにバカにされたけど、あれで楽天は全国区になった。同じことを今度は世界レベルでやる」と言って契約したのがスペインのサッカーチーム「バルセロナ」です。5年で約300臆円のパートナーシップ契約だそうです。

これは、完全仮想化モバイルネットワークを世界中で商談する際にも、優秀な人材を世界中から集めるにも大きな成果があったようです。楽天は社内の公用語は英語だそうですが、世界に打って出るんだという強い意志を感じますね。
また、三木谷氏のお父様はすい臓がんで亡くなられたそうで、楽天メディカルでは新たながん治療薬と医療機器の実用化を進めているそうです。小林久隆氏のがん光免疫療法との出会いは、まるで、携帯電話ネットワークの完全仮想化との出会いの再現のように書かれていました。周囲の人が「そんなことは無理だ」「まだ実現は不可能だ」と言う中での決断で、著者さんに「リスク中毒」と呼ばれるような人にしかできないのだろうなと思いました。
「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者さんが、大企業と中小企業では生態が違うと言っていたのを思い出しました。
見ているものが社員ではなく地球全体、やっていることはお金のためでも手元の幸せのためではなく、万人が求める・便利になるもの。資本主義社会だから、このように自分の手持ちを全額BETできるようや経営者がいるから、技術が発展し、今では、安価で便利なテクノロジーを享受しているんだと分かりました。
もう日本には三木谷氏のような「海賊」は居ないということでしたが、このようなリスクを取って不可能にチャレンジする人は、この先も必要だろうなと思いました。
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