歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

アイヌの話

今回も前回と同様、「思考を深める読書」で著者さんがおススメしていたアイヌの話に関する本です。(「アイヌ」のみ一致…Unlimitedで読めるもの笑)

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

 

特に「クマにあったらどうするか」は、本当に面白くて、北海道の山で生きるアイヌの知恵がたくさん詰まっている本でした。自然のものだけでキャンプをする人も居ますが、その上を行く、あなたはもはや野生動物でしょうと思うような話ばかりでとても面白かったです。特に書き残しておきたいことをまとめたいと思います。

 

 

アイヌの民話

 

アイヌ語で「カムイ」は神様ですが、アイヌ民族は万物に精霊が宿り、その機嫌次第で人間に福や災いをもたらすと考え、自然を崇め祀ってきたそうです。そして熊を神として祀るイヨマンテ(熊祭)が興味深かったので、概要をかいつまんでご紹介します。

 

(母熊を仕留めて)熊の子を手に入れると家に持ち帰り、家族のように大切に育てます。人間の母乳を与え、子どもたちもおいしいものがあれば、自分が食べる前に熊の子に分けてやるなど大切にします。熊の子は近所の子どもたちとも兄弟のように仲良く遊び成長していきます。そして、3歳になれば体つきも山にいる熊と変わらないほどになります(熊は3歳で親離れする)。すると、熊は親神様の所へ返してやらなければなりません。これを「神おくり」と言いますが、その時には部落の人々を呼んで盛大な酒盛りをするのです。祝詞を唱え、熊を弓で射て、頭は神前に供えると、肉はすぐさま料理されて、飲めや歌えの騒ぎが三日三晩続けられます。この熊の頭が垣根にいくつも差してある家は、昔から何代も続いてきた家であり、たいへん名誉なことなのだそうです。

 

アイヌでは、熊の姿をした神様が、天国に帰ろうとして自分を頼って来られたのだと考えます。なので、たいそう可愛がって育てた上で、大きくなると殺して神の国にお届けするのだそうです。

以前、小学校で豚を飼い最後は食べるという話があり、ブタがいた教室という映画にもなっていますが、アイヌの話をどこかで聞いたことのある先生だったのかも知れませんね。

 

 

 

山歩き

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師匠は熊

アイヌ民族最後の狩人である姉崎さんは、ヒグマから山の歩き方を学んだと言います。クマの足跡を辿ると、人間が考えて歩くよりずっと合理的で楽だということが学べるそうです。クマに教わった人間が歩けないようなところでも姉崎さんは一人でどんどん行きます。また、クマの方も賢いので、人間は来られないだろうというところ、山の荒くて登ったり下ったりするところを逃げるのだそうです。また、アイヌの人たちはクマが食べているものを見て、食べられるものを覚えたということでした。

 

山の服装

姉崎さんが山に入る時の服装は、驚くほど軽装です。ひざ下までの長靴、綿やポリエステル製のちょっと厚手の靴下、作業ズボンに毛の長そでシャツ(春になると木綿)、厚めの作業ジャンパー、薄いセーター(これは夜のため)、普通の軍手、毛糸の細い首巻(本当に寒いとき)、毛編みの軽い帽子だそうです。時計は持っていくけれど、コンパスは必要ないとのことでした。

そして驚いたのが、汗や川の水で靴下や長靴の中が濡れても1日中そのままだということです。水に入った長靴なんかはジャボジャボのまま歩くそうです。そうしないと、凍傷になってしまうということでした。靴下は夜に絞って、焚火で乾かすだけだそうで、予備なども持っては行かないそうです。

 

焚き火

二畳分くらいのビニールでテントを作りベースキャンプとします。そして仮小屋はトドマツの木を切り倒し、枝先の雪を踏み固めてマツ葉を敷き、枝を屋根にして作ります。夜は必ず、火を焚きます。火のつく木、つかない木をちゃんと見分け、もし川に落ちてもマッチが濡れないようにしっかりと準備することも大事です。そして、夜は薄いシャツ一枚で直接背中をあぶるようにして寝ます。薄着であれば火が衰えたらすぐに気づけ、薪をくべることができるということでした。アイヌ語で背中あぶりはセトゥル・セセッカと言うそうです。

 

 

熊の生態

 

大きな熊は安心

姉崎さんは、大きなクマに出会うと安心します。なぜなら、順位の高いクマ、立派なクマは山の真ん中のエサが多く安全なところに住み、経験豊富なので、順位の低い若いクマほど里の近くに出てきて中学生のように『いがる』(相手につっかかる)のだそうです。なんか分かりますね。

 

手負の熊が一番危険

熊はたとえ猟銃の弾が心臓に命中しても相手に飛びかかり、猟師を一撃で叩き殺すくらいの力が残っているそうです。特に子連れの母グマは気が荒く、どんなに深手を負っても簡単には死なないのだそうです。なんか、これも分かります。

 

人を食べた熊

アイヌの人々は、人に大ケガをさせたり、人を殺したりしたクマはウェンカムイ(悪神)として、なんとしてでも撃ちとり、家の中にも入れず、外で逆さにして土に埋め、二度と再生しないようひどい言葉を浴びせかける儀礼が行われるそうです。クマというのは大変かしこく、普通のクマは隠れて姿を見せないのですが、一度人間を襲ったことのあるクマは最初から人間を食おうと襲ってくるのだということでした。

 

熊に遭遇したときの対処法

熊に遭遇したら「死んだふり」や「走って逃げる」など言われますが、姉崎さんはクマの目を見て棒立ちすることを勧めます。また、クマが覆いかぶさってきてもすぐに噛みつかれるわけではなく、よだれを垂らしてハゥ、ハゥと様子を見るので、手持ちの武器や手を口の奥まで突っ込んで反撃するのも良いそうです。それを知っていたとして、実際にできるかは分かりませんけどね(笑)

 

 

まとめ

 

姉崎さんは、父親が福島から来た屯田兵、母親がアイヌ民族だったそうで、チポエップ(混ぜ煮、隠語は混血児)とよばれ、アイヌの村では冷たくされたそうです。なので、アイヌ民族に伝わる狩猟の伝統はほとんど教えてもらえなかったということでした。だからか、イヨマンテ(熊祭)の話もちょろっとしか出てきませんし、本書の内容は大人たちの話を盗み聞きしたことや師匠(熊)から教えてもらった内容ということになります。本当にすごいので、是非読んでみて欲しいです。

本書を読んで、熊は本来人間から隠れて生きているのに、人間による自然破壊により熊の生息地が奪われ、人間とトラブルが起きているということがよく分かりました。近年北海道では外国人観光客向けの再開発がものすごい勢いで行われていますが、野生動物が暮らせる自然を守る活動もしっかりと進めて欲しいなと思いました。

 

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