今回は、「うまくいかない人間関係逆転の法則」(2024年)を読みました。
「ポジティブ心理学」は以前学びましたが、これを人間関係のパターンに当てはめて、どうすればドロドロの関係に気づき、回避できるのかを学べる本でした。
特に、「ドロドロトライアングル」と「しあわせトライアングル」という関係性は、自分で気づけるようになりたいと思ったので、まとめたいと思います。

ドロドロトライアングルの登場人物は、《犠牲者》《迫害者》《救済者》の三者です。ドラえもんに当てはめて説明しているのがわかりやすかったのですが、犠牲者はのび太、迫害者はジャイアン、救済者はドラえもんです。
《犠牲者》はいつも人ですが、ガン、心臓発作、伝染病などの状態や自然災害、大切な人の死、社会システムといった環境が《迫害者》になる場合もあります。また、人を依存させるもの、例えばアルコールやギャンブルも《救済者》と同じ役割を果たします。
犠牲者
《犠牲者》は、 起きている悪いことやイヤなことはすべて誰かのせいであって、自分の責任ではないと考えます。そして、犠牲者で居続けたいので、いつも被害者ポジションを探しています。
アドラー心理学の目的論で言えば、チャレンジしないので、失敗もなく、心が傷つくことを避けられるというメリットがあります。
犠牲者は犠牲者のままでいたいので、犠牲者にはアドバイスはあまり利かないということでした。
迫害者
《迫害者》は《犠牲者》を傷つける、悲しませる、苦しませるなど、犠牲者の苦しみの原因とされる人や状況、環境のことです。犠牲者が犠牲者であるためには、迫害者の存在は欠かせません。
迫害者の役割の人は、じつは元犠牲者であることが多く、迫害者自身も自分を犠牲者だと思っていることが多いのだそうです。なので、コロコロと役割が変わる場合もあります。
救済者
《救済者》はヒーローとも呼ばれますが、救済者の行いが、本当に相手のためになっているとは言えません。 救済者は、自分の重要性がより満たされる行動を選ぶので、むしろ、犠牲者をどんどんダメにしていることも多いそうです。
救済者の中にあるのは、「深い無価値観」であり、恐れがいつも心の奥底にあるということでした。そのため、救済者が自分の価値を感じるためには、犠牲者が必要不可欠であり、共依存の関係に陥ってしまっている場合も多くあります。
では、どのようにしてドロドロトライアングルから脱するのかと言うと、犠牲者マインドセットに気づく必要があります。いつも「問題」ばかりにフォーカスするため、「不安」になり、不安を打ち消すために「逃げる」「固まる」「戦う」という行動を起こしてしまっているということに気づく必要があります。
これは、まさに認知行動療法ですね。

そして、《犠牲者》は自分で自分の道を切り拓き夢をかなえていく《クリエイター》に、《迫害者》は自分を成長させてくれる《チャレンジャー》に、《救済者》は相手の成長をサポートする《コーチ》になるよう、見方、考え方を変えていきます。
- 自分が他責傾向のある《犠牲者》だと気づいたら、なんでも自分で決めて、自分の人生に責任を持つ。
- 不安の強い《迫害者》だと気づいたら、自分は本当は何が欲しいかという理想にフォーカスする。
- 自分が《救済者》になっていると気づいたら、犠牲者の強みを見つけて信じ、自分で解決できるように支援します。
そうすることで、ドロドロトライアングルからしあわせトライアングルにシフトできるということでした。
本書を読んで、繰り返す悪い関係に気づくことが一番大事で、かつ、難しいことだなと思いました。逃げたり、誰かに助けてもらっていても一向に良くならない、もしくは繰り返す関係があるのなら、このドロドロトライアングルなのではないかと疑ってみる必要があると思います。自分の犠牲者マインドセットに気づくことは、辛く苦しいことでもありますが、これを乗り越えることができれば、しあわせな人間関係が待っているということでもありますよね。
私も年齢を重ねて、ある時から、周りの人には迫害者なのに、自分に対しては全く迫害者とはならない人が出てきたことに気づきました。これは、ドロドロトライアングルの関係性を自分で断ち切ることができたということなのかなと思います。それなりに苦労してきたので(笑)、若い頃にこのような見方・考え方を教えてくれる人がいたらよかったなと思いました。

