歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

先入観

今回は、先入観はウソをつく 常識や定説を疑い柔軟な発想を生む方法(2017年)を読みました。

 

 

ニュースや人の話を鵜呑みにはせず、自分の頭で考えることが重要だということは、これまでも学んできましたが、本書を読んで日本人や偉い人ほど先入観が強固になるということを学んだのでまとめたいと思います。

 

 

服従型教育システム

 

日本の教育は、服従型の教育システムだと著者さんは述べます。正解があり、教員はそれを教えるという日本のような教育システムは、発展途上国にしか見られないそうです。一方、対話型の授業では、例えば偉人の人物像を話した後に、「先生はこう思うのだけど、みんなはどう思うのかな?」と聞きます。このような教育を受けると、大脳がおのずと「先入観の詰まっている部分」と「自分で考える部分」を作るということでした。

最近は、アクティブラーニングや対話型授業が学校でも取り入れられるようになってきましたね。私も授業参観で道徳の授業を見たことがありますが、やっぱり正解ありきなんですよね。算数でも掛け算のかける順番が違って×になったり(答えは同じ)、もっと柔軟にできないものなのかなと思っていました。

 

 

受け入れ箱と比較箱

 

私たち日本人が親や服従型の教育システムに植え付けられた不要な先入観に凝り固まってしまわないためには、まず大脳の中の「今まで教えられた知識」や「過去に経験した知識」を80%くらいにとどめ、残り20%の空いた場所ができるようにします。そして20%のうちの10%分を「受け入れ箱」、残り10%を「比較箱」として脳内に新たに作ると良いそうです。人の話をまず受け入れて、その後比較して考えることで、何が正しいのか自分で考えることができるようになるということでした。

 

なので、偉い人ほど自分は正しいと思いやすく、先入観で凝り固まってしまうという訳ですね。では、へーそうなんだと思った、凝り固まっていた頭が軟らかくなる話をいくつか書いておきたいと思います。

 

 

タバコを吸っても肺ガンにはならない

 

「タバコを吸っても肺ガンにはならない」という理由の一つは、男性の喫煙率が下がっても、肺ガンが年々増加しているということが挙げられます。1980年時点での肺ガンの死亡者は15,000人くらいでしたが、2000年には40,000人、2015年には80,000人を超えています。この間、喫煙者の数は減っているそうです。

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次に、男性の喫煙率が下がり、分煙化が進んでいるにも関わらず、女性の肺ガン患者数は年々増えています。しかも、喫煙とは関係ないと言われる腺ガンが7割を占め、タバコが原因だと言われる扁平上皮ガンは非常に少ないそうです。

これを聞くと、肺ガンの原因は別のところにありそうだと考えられますね。確か、タバコを吸っている人の方がパーキンソン病にならないという話も聞いたことがあります。あ、でもタバコは確実に歯周病を悪化させますからね。じゃあいいか、じゃないですよ。

 

 

塩分を摂りすぎても高血圧にならない

 

日本人の5人のうち4人が、減塩しなくても血圧は変わらなかったという研究結果があるそうです。残りの一人だけは食塩を摂取すると血圧が高くなる傾向にありました。寒い地域の人は塩分の強いものを食べるから血圧が高いというのは、マスコミの短絡的なアナウンスに過ぎません。長野県の男性は、他のどの都道府県の男性よりも塩分を摂りますが、どこよりも長寿なのだそうですよ。

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日本の高血圧の定義、特に高齢者については、血圧は高めの方が長生きだというのは知っていましたが、塩分を摂り過ぎたら高血圧になるというのが5人中4人には当てはまらないというのは知りませんでした。自分はどっちのなのか、気になりますね。

 

 

「森林が二酸化炭素を吸収する」はウソ

 

「森林が二酸化炭素を吸収する」も大間違いです。木は大気中から二酸化炭素を吸収して、葉の中で光合成を行い、大半以上の酸素を空気中に放出していますよね。しかし、吸収する二酸化炭素と放出する酸素のバランスは成長期の木では酸素の方が多くなりますが、成長し終わった木では光合成をあまりしなくなるので、二酸化炭素を吸収しないのだそうです。

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さらに二酸化炭素を減らせば地球温暖化を食い止められると言って森林を伐採するのは悪だという先入観を私たちにうえつけました。そして、行き過ぎた森林保護が花粉症患者を増やしているというのです。

若い木しか二酸化炭素を吸収していないなんて、初めて知りました。花粉ではなく、酸素を出す木を山に植えて欲しいですね。

 

 

お城の大きさと戦争

 

海外の人が日本のお城を見ると「小さい」と思うそうです。それは、戦争観が異なるためで、海外ではもしも戦争で負けると、領土は奪われ、町民や農民は奴隷として連れて行かれます。そのため、お城の敷地内で生活している町民や農民たちを守るために大きなお城が存在しているのだそうです。

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しかし、日本では2000年以上も「すべて天皇に所有権がある」という認識であったため、殿様同士が戦争したとしても、町民や農民が傷つけられたり、財産を奪われたり、奴隷にされたりということはありませんでした。そのため、お城は殿様やその家来たちが住む場所であり、海外のお城と比較すると小さいということなのだそうです。

過去記事「日本の天皇でも学んだ天皇という存在は、戦争観にも影響を及ぼしていたということが分かりました。日本は本当に特殊な国なのだということをよく知っておかなければいけませんね。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

 

 

まとめ

 

本書の「受け入れ箱」の話を聞いて、相手の話をまずはそのまま受け入れるコーチングと同じだなと思いました。ティーチングではなく、コーチングですよ。

 

ddh-book.hatenablog.com

 

先入観にとらわれないためにも、他の人と良好な関係を保つためにも、脳の中に受け入れるスキマをちゃんと作っておく、どんな話でもまずは一度受け入れてみるというのが大事だなと思いました。

 

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