今回は、「持たざる者の逆襲」(2023年)を読みました。
内容としては、自己啓発なのですが、著者さんの歩んできた人生の重みが文章にも表れていている本です。だからと言って、過去記事「サイゼリヤ哲学」のような、自分が生まれ変わっても到達できそうにない雲の上の人という訳でもなく、できるかも、頑張ってみようと思える内容でした。
本書における自由とは、休みたい時に休めたり、食べたいものを食べられるといった小さなものだけだけではなく、助けたい人を助けられる、応援したい人を応援できる、その先にある自分の生き方や自分の信念を貫ける人生を謳歌できる自由をも含めて定義してきた。
著者さんは、幼いころから大変貧しかったそうで、高校生の時にはスポーツクラブでトレーナーのアルバイトをしていたそうです。しかし、その貧しさから非行に走るのでもなく、「金持ちになりたい!」と思うのでもなく、「自由に生きたい!」「仲間を助けたい」というのが根底にあるようでした。そして、東日本大震災の時には寄付サイトを作って300万円の募金を届けるという精一杯の支援活動を行う一方で、ソフトバンクグループの孫正義会長が100億円の寄付をするという発表を見て衝撃を受けます。自分の寄付した金額の3333倍という差に情けない気持ちになり、この経験が起業へと向かわせる原動力になったということでした。

これらの経験が、上記に引用した自由の定義になる訳です。前々から資本主義の金欲、物欲に対して嫌悪感を持っている私ですが、著者さんの「自由に生きたい!」「助けたい人を助けたい」「応援したい人を応援したい」という気持ちには共感を感じるし、それがお金儲けの原動力であるのであれば、きっとどんな仕事でも上手くいくだろうなと思いながら読みました。

人生は選択の連続であり、大小含め、ひとつ一つの選択が「今」を作っています。これは間違いないですね。著者さんは本書を書いている時に十二指腸のガンが見つかり、手術したのだそうです。十二指腸のガンというのは、ステージ1でも5年生存率が50%もあるそうです。
Web検索してみたら、ステージIAで92.2%、ⅠBで74.7%と書かれていたので、ちょっと大げさかなぁ(笑)それでも自分がガンだと言われたら、かなり動揺すると思います。しかし、著者さんはひとつ一つの選択を自分のありたい姿から逆算して、大事にしてこられたと胸を張って言えるので、「これで死んでもしょうがない」と思えたということでした。私も死ぬときには「悔いなし」と言って死にたいと思っていますし、スティーブ・ジョブズも「今日が人生最後だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか?」と言っていましたね。失敗したって、それも経験なので、自分のありたい姿に近づける選択をしていこうと思いました。
著者さんは講演会やインタビューで「トップ0.8%の人材を目指せ」とよく言うそうです。トップ0.8%というのは、例えば、自分を含めて1,000人が講演会を聞いていたとすると、その話を必死に理解しようと集中して聞くのが20%(200人)程度、さらにそこで学んだことを行動に変えようとするのは200人のうちの20%(40人)程度、そしてその行動を継続し続けるのが40人のうち20%(8人)、つまり全体の0.8%だというのです。
何かを知っても多少の理解をしただけで行動・継続に至らない人が本当に多い、物事を知っていることと行動して継続できることの差はとても大きいと述べられていますが、このブログでも、何度となく「行動」の重要性は学んできました。それを「継続」するというのはもう一つ高いハードルを越える必要があるなと思いました。

自分に対して耳の痛い指摘をする人がいた時は、「不都合なことは大概正解」という解釈をし、真摯に聞くのが良いということでした。耳が痛いと感じるのは、身に覚えがある証拠だそうです(笑)。会社などでは厳しい言葉をかけると、パワハラだ、モラハラだと言われる時代ですし、家庭でも学校でも怒らない子育てが普及して、耳の痛いことを言ってくれる人がどんどんいなくなっている世の中です。そんな中、厳しい言葉をかけてくれる人は貴重だ、耳が痛いかもしれないが受け入れて改善を試みれば成長できると思えるというのは、これまで指摘されても不貞腐れず、ちゃんと自分自身を改善していった人にしか言えない言葉なのかなと思いました。
本書は、是非息子に読んでもらいたいと思う本でした。タイトルはガツガツしていますが、内容は実に実直で周囲の人々への配慮や思いやりを感じます。しかし、本というのは出会いのタイミングというのが重要で、今私が読めと言ったところで息子は絶対に読まないので、将来、家を出ていく時にそっと荷物に忍ばせておこうかなと思います。
