今回は、「フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則」(2024年)を読みました。
本書の著者さんはコンサルトをされている方のようですが、フローとストック、抽象と具体という考え方で世の中の出来事を見ると、とても理解しやすく、世の中の出来事はこのように変化していくのか~ということが分かったので、整理しておきたいと思います。
フローというのは、水のようにサラサラとした「流れ」であり、お風呂にお湯を「貯める」のように、動詞で表現される「行為」になります。目に見えるフローには、水や空気の流れ、人の流れがありますし、目に見えないフローには、お金の流れ、情報の流れ、時間の流れなどがあります。

一方、ストックは「蓄積」や「積み上げ」を意味し、お風呂にお湯がお湯が貯まった「状態」となります。目に見えるストックには、米や石油のストック、備蓄や在庫一般などがありますし、目に見えないストックには、知識やお金、情報のストックなどがあります。
狩猟採集時代の人間はフロー型(その日暮らし)でしたが、農耕社会へ移行したことでストック型となりました。そして、そのストック型思考が発展することで、「共同のインフラ」という概念が発達し、「所有」という抽象概念が経済活動におけるストックを生み出し、資本主義社会へと繋がっていったということです。
そして、ストックには「不可逆性」、つまり、時間に伴う変化が一方向で逆向きにするのが難しいという特徴があります。ルールや規則が増える(自然増)のに対し、それが減る時には意志を持って一気に減らす(意識減)のですが、結局時間経過とともにストックは増加していくというのこぎり型を呈します。
「具体」というのは、動物にも見える「目に見える具体的事象」であり、個別の事象で一つひとつ異なります。スーパーに並んだトマトやキャベツといった感じです。

そして「抽象」というのは動物には見えない「目に見えない概念」であり、高度な知的能力を持った人間にしかできない能力です。スーパーに並んだトマトやキャベツを、人間は「野菜」や「食べ物」と抽象化して考えることができるということです。
この目に「見えない世界」では、簡単に指数関数的な変化を起こしますので、例えば、貧富の差において、物理的な資産の量(例えば宝石や家)であれば大きな差がつくことは簡単ではありませんが、デジタル的なマネーの世界(例えば投資や暗号資産)では天文学的な差がつくことがあり得ます。そして、人間と動物とを圧倒的に差別化しているツールこそが、「数」「言葉」「お金」という目に見えない抽象化の産物になります。
そして、人間が動物とは比べものにならない規模や複雑さで集団生活を営み、「社会」や「国家」を運営できるのは、この「ルールを決めてそれを集団の構成員で共有する」という抽象化あってのこそだということでした。一方、ルールを決めるということは、して良いことと悪いことの間に線を引くということであり、大きなメリットとは裏腹に「歪み」が生まれてしまいます。
さらに著者さんはこのフローとストック、抽象と具体を4つを組み合わせ、四象限のフレームワークを「CAFSマトリックス」として整理しています。本書の表紙はその図ですね。

世の中の事象は、フローとしての具体(すべてが個別で異なる世界)だったものが、フローとしての抽象(「フローとしての具体」を抽象化して考えられた、分類やカテゴリー、あるいは何らかの「線引き」がされた世界、一時的な作業領域のようなもの)を経て、ストックとしての抽象の世界(「フローとしての抽象」がスナップショットとして固定化したもの)となり、ストックとしての抽象(大多数の人間が(言葉などによって)無意識に認識している世界)へと至ります。具体例は本書にたくさん書いてありますよ。
そして、ストックとしての事象からフローとしての具体への移行はなかなか行われず、「生まれ変わり」を必要とします。イノベーションやゼロリセットで考えなければ突破できないということですね。
抽象化という「線引き」、つまりルールとは、「ほんとうは白か黒かで綺麗に分けられないものを、強引な『線引き』によって白か黒かに分ける」ものであるため、「その他」となってしまう「少数民族問題」が起こります。これが歪みですね。
また、この歪みは時間の経過とともに変化し、時に許容できないレベルにまで拡大してしまいます。
さらに、この歪みの解消はある時一気に行われます。日本なら「廃藩置県」がその例です。県という新たな行政単位によって引き直され、藩という区切りが消滅したことで、日本人のアイデンティティの単位そのものも変化しました。「国」という一つ上の概念が登場し、都道府県同士で戦争することはなくなったのです。
フロー思考の人は「今」「ここ」を重視し、最新情報と技術を最大活用するのに対し、ストック思考の人は「過去」の経緯を重視し、それまでに蓄積されたストックを最大限活用しようとします。
本書を読んで、どっちが良いではなく、どちらの思考も意識して使えるようになりたいと思いました。本書を読んで、今どのステージにいるのか、歪みが出てないかという、少し俯瞰して世の中の事象を見れるようになった気がします。私もコンサルトさんみたいに賢くなったかな!
