歯科衛生士のよみもの

kindle unlimitedで本を読み漁り、感じたことを考察していくブログです。

怠惰のウソを暴く

今回読んだ本は、「怠惰」なんて存在しない 終わりなき生産性競争から抜け出すための幸福論(2024年)です。

 

 

私も働き方に疑問を持ち、定職を辞めた方の人間なのですが、あの頃は頑張りすぎていたなぁ〜と思うので、本書で詳しく解説されていた「怠惰のウソ」をじっくり見直してみたいと思います。

 

 

怠惰のウソ

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「怠惰のウソ」とは、「あくせく働くことは、のんびりするより道徳的に優れている」「生産性の高い人は生産性が低い人より価値がある」という考え方のことをいい、以下の三原則からなってます。

1 人の価値は生産性で測られる。

2 自分の限界を疑え。

3 もっとできることはあるはずだ。

私たちは長い時間をかけて、観察とパターン認識の中で徐々に「怠惰のウソ」の思考を吸収してしまっています。この世界では「努力は報われる」と信じ、限界や要求を口にすることは恥ずかしいことだと信じ、今日も無理に仕事を引き受けてしまっているのではないでしょうか。本書では、上記の3原則にある「怠惰のウソ」を1つずつ暴いていきます。

 

 

資本主義によって生まれた

 

勤勉を善とし怠惰を悪とする価値観は、国民的な神話に織り込まれ、全国(本書では米国を意味)共通の信念となりました。「怠惰のウソ」が広まった大きな要因として、ピューリタンの移住を挙げています。ピューリタンでは、勤勉さは「神に予め救済の対象として選ばれた証し」と考えられ、勤勉に働けばより善い人間になれると信じられていました。そして、「怠惰」を軽蔑し、罰する価値観が強く支持され、政治的にも利用されていくことになります。

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植民地時代には、奴隷が本人には何の見返りもないのに熱心に働いてくれるようなロジックが必要でした。さらに奴隷以外の社会的弱者(年季奉公や貧しい白人労働者、先住民族など)にも及び、「不平を言わずに真面目に働くことが美徳であり、自由な時間を望むのは道徳的退廃だ」と教え込まれました。

産業革命によって労働者の多くが工場での長時間労働に従事するようになると、高学歴の資産家層は「貧しい白人に遊休時間を与えるととろくなことにならない」と言い出し、プロパガンダの影響もあり、怠惰は単なる個人の欠陥にとどまらず、根絶すべき社会的害悪だという考えが一般化してしまい、映画や演劇、テレビに登場するようになります。自分の持つ時間や才能、そして自分の人生をささげるヒーローが世界を救うというあれです。

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さらに、今の教育システムは産業革命期にできたものであり、工場労働者や倉庫作業員をトレーニングする前提で設計されています。授業に集中できない子、じっと座っているのが苦手な子は、問題児として抑えつけられます。言われたことをその通りにできれば、良い成績を取って毎回褒められ、事あるごとに励ましてもらえますが、そうでない学生は「出来が悪い」「頑張りが足りない」「そんなことではどうせ今後も失敗する」というメッセージを受け取ります。

IT技術の発達により家庭や私生活でも四六時中仕事のメールが届き、上司に返信するというプレッシャーが増えました。SNSでは体型や家庭や人生について「こうあるべき」というメッセージにに晒され、常に罪悪感を掻き立てられます。

 

これはアメリカの話ですが、日本でも産業革命以降の変遷は全く同じですよね。日本では、天照大神でさえも高天原に田んぼを持っているそうで、天皇陛下も毎年、田植えや稲刈りをされるそうですよ。作物を作ったり、織物をしたりという労働は、神様もしているし、生きることと同じ当たり前というのが元々の日本人の感覚だったのかなと思います。

 

 

自分に優しく、人にも優しく

 

本書のメッセージは、自分を「怠惰」だと思わなくて良いし、他人を「怠惰」だと思った時には、思いやりを持って相手のことを見てみようということでした。本当にその通りだと思うし、もし自分が何の事情も聞かずに上司から「あなたは怠けている」なんて言われたら、即仕事を辞めると思います。まぁ、そんなことを言われないために怠惰ではないアピール(頑張ってることをアピールしたり、成果物を早めに出したり)をしてしまうのですが…。

日本人は仕事し過ぎだと思っていましたが、本書に出てくる人々は、仕事もして、子育てして、社会活動もして、ボランティアもして、毎日トレーニングをしてと、仕事や仕事以外のところで頑張りすぎていると思いました。

脅迫観念や罪悪感で頑張り過ぎてしまう人には、頑張っている自分を認めて、体からのメッセージをもっとよく聞いて、自分と向き合う時間を作ることが大事なんだなということが分かりましたし、過去記事「時間割引と滅びない戦略」のアリのように、1人ではなくチームで、それぞれの得意を活かしていけるといいのではないかなと思います。

 

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まとめ

 

本書を読んで思ったのが、アメリカ人は選挙応援とか、環境活動、ボランティア活動を本当によく頑張るよな~ということです。そのような頑張る人にばかりインタビューをしているので、当然ではあるのですが、そのような人が尊敬される、称賛される、文化的なものを感じずにはいられませんでした。

そして、チクセントミハイのフロー理論にあるように、やりたい事に熱中している時はこの限りではない、つまり頑張り過ぎている状態ではなくむしろ望ましい状態なのではないかと思いました。やはり、自分の本当にやりたいこと、過去記事「宇宙の構造」小林正観さんが言っていたような自分の3つのテーマを知り、自分のテーマに沿った生き方をすれば、自分は怠けているのではないかと不安にもならないし、心身を壊す生き方にはならないのではないかと感じます。

 

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