今回は、「面白くて眠れなくなる進化論」(2015年)を読みました。
「時間割引」について書いておきたいのと、生物たちの滅びない戦略が面白いなと思ったので、まとめたいと思います。
もともとは経済学の分野からでてきたもので、将来に起きる出来事の価値を小さく評価する傾向のことを指します。また一般に、報酬がもらえるのが近い未来では、割引率は大きく、遠い未来になるほど割引率は小さい(少しの割り増しでも待ってしまう)そうです。さらにこの時間と割引率との関係は、最初は時間とともに急速に下がり、ある程度時間がたつと下がり方が緩やかになるという双曲線状になることも分かっています。

例えば、今日1,000円を受け取る場合と、明日に1,010円を受け取る場合であれば、今日1,000円を受け取ることを選ぶと思います。しかし、30日後の1,000円と31日後の1,100円ならば、同じ1日を待つのだとしても、31日後の1,100円の方が選ばれるということです。すると、貯金やダイエットなどの「合理的には有利な計画を立てても、それが実行できない(ついコンビニで買物やダイエットは明日から)」という、やりがちな不利益につながってしまうという訳です。
では、動物ではどうかというと、サル、ネズミ、ハトなどで待つとたくさん餌をもらえるという装置を使って学習させ、実験したところ、人間と同様の「時間割引」の概念を持っていることが分かったそうです。
では、昆虫や魚ではどうかということを著者さんは研究されているそうで、学習していない無脊椎動物でも時間割引に相当する現象があることが分かったそうです。
コオロギの実験ではメスを細い通路に入れ、両端からオスの鳴き声を聞かせます。メスは鳴き声のテンポが速いオスを選ぶので、遠くにテンポの速いオス、近くにテンポの遅いオスを配置したところ、遠くに質の良いオスの鳴き声が聞こえているにもかかわらず、近くの質の悪いオスを選んだのだそうです。

この価値の割引率が双極的になっているかまではまだ分かっていないそうですが、コオロギでもすぐ手に入る質の低いオスと、出会うまでに時間のかかる質の高いオスの間で「価値の割引」が観察されたということでした。
さらに、若いメスのコオロギはシビアにオスの鳴き声を選ぶのに対し、歳を取って残り寿命が少なくなってくると、シビアに選ばなくなっていくそうです。
人も若いうちは理想の相手を探しますが、歳をとると妥協しますよね…(笑)

カブトエビは淡水生物で、乾燥した場所に住んでおり、 乾季に水が干上がった時は、卵の形で休眠して、次の雨が降るのを待ち、時折降る雨によってできた水たまりで発生・成長して、産卵します。しかし、水たまりができるような雨がいつ降るかわからないため、カブトエビが産む卵の中には、一回濡れると孵化するもの、二回濡れると孵化するもの、三回のもの、もっと多いものと様々あるそうです。孵化に必要な雨に濡れる回数をばらつかせておくことで、自分の遺伝子を確実に将来の世代に伝えていくことができるのだということでした。
滅びないためには、多様性が大事ですね。ヨーロッパで起きたジャガイモ飢饉を思い出しました。
アリの巣で、ある瞬間を見てみると全体の3割くらいしか働いておらず、後の7割はボーッとたたずんでいたり、自分の体を掃除しているそうです。働かないアリは、子どもの世話のような、コロニーの他のメンバーの利益になるような「労働」をしていません。そして、1カ月、あるいはもっと長期間アリの巣を観察しても、1~2割のアリは、労働とみなせる行動をほとんどしないのだそうです。
アリの各個体は、仕事が出す刺激がある一定の値以上になると反応して働きだすと考えられており、この「反応閾値」は特定の仕事について個体差があることもわかっているそうです。全滅を防ぐためには、コロニー内の重要な仕事(卵の世話など)を途切れさせないようにすることがとても重要であり、これが常に働かないアリが準備されなければならない理由だと考えられているそうです。
働かないアリの話は、よくビジネス書でも出てきますが、会社の働かないおじさんはピンチになっても働かないような気がしてなりません…(笑)
「右脳思考を鍛える―「観・感・勘」を実践! 究極のアイデアのつくり方」(2019年)では、気になる情報は、その情報から何が言えるのかを用途別にカテゴリー分け (脳内タグ付け)するということだったので、一生懸命、それから何が言えるのかを考えようとしたのですが、コンサルタントのようなプロジェクトも問題意識がないので、薄〜い考えしか出てきませんでした(笑)。
まあでも、書くことでしおりにはなると思うので、面白い、なんか気になる情報はこれからも書き続けていきたいと思います。何だかんだで、もうすぐ丸2年!面白い本には次々出会えるし、書くのも、イラストを作るのも楽しくて全く飽きません。

