今回は、「海洋プラスチック 永遠のごみの行方」(2020年)を読みました。
スーパーでレジ袋が有料になったり、ストローが紙製になったりして、プラスチックごみが地球環境に悪いということは何となく知っていましたが、何がどこまで分かっているのか、どのように問題があるのか具体的には知らなかったので、とても勉強になりました。本書を通して知った、プラスチックごみの行方やプラスチックごみに関する不都合な真実をまとめたいと思います。
私たちは、83億トンものプラスチックをこれまでに生産しているそうです。あの、軽いプラスチックが83億トンですから、ものすごい量ですよね。使用目的は、包装や容器が45%と飛びぬけて多く、建築や土木が19%、日用品や工業製品が12%、輸送が7%と続きます。やはり、「使い捨て」される容器が問題です。

さらに、生産された83億トンに対し、この期間に破棄されたプラスチックは63億トンで、その内訳は焼却処理が8億トン、それ以外の破棄(埋め立て、自然環境への流出など)が49億トン、リサイクルが6億トンだったそうです。リサイクルはたったの9%ということでした。
1年間に海に流れ込むプラスチックごみの量は800万トンと言われており、国別では中国がもっとも多く132万~353万トン、2位はインドネシアの48万~129万トン、続いてフィリピン、ベトナム、スリランカ、タイ、エジプト、マレーシアと続きます。ごみの回収ルートに乗らないポイ捨てや不法投棄、きちんと管理されていない処分場のごみが問題だということでした。外国からのごみは、日本の海岸にも多く流れ着いていますよね。
そして、海に流れ込むプラスチックごみがこのまま増えて行けば、2016年にくらべて2030年には2倍、2060年には4倍になると予想されているそうです。
まず、プラスチックごみは、生き物たちの体の自由を奪ってしまいます。昔は木綿や麻などの天然繊維でつくられていた漁網も、いまはプラスチックが当たり前です。漁網にからまってしまったウミガメや釣り糸が巻きついた海鳥、まだ小さいころ首のまわりに漁網などが巻きついてしまったアザラシが成長とともに苦しんだり、ウミガメの赤ちゃんが漂着したごみにはばまれて海にたどりつけないこともあります。

もうひとつは、それをえさと間違えて食べてしまうという問題です。鳥では、カニやエビなどの甲殻類、イカなどの頭足類をえさにする鳥、そして雑食性の鳥の誤食が多いそうです。クラゲと間違えてレジ袋やビニール袋などを食べてしまうウミガメ、誤飲したストローが胃壁を破って死んでしまったマゼランペンギン、プラスチックごみを食べ栄養不足になり、体がだんだん弱って死んでしまったコアホウドリのひななどが紹介されていました。
さらにプラスチックには、紫外線や熱による劣化を防いだり、燃えにくくしたりするための物質が加えられていて、最終的なプラスチックの重量の半分以上が添加剤ということも珍しくないそうです。添加剤のなかには生き物にとって有害な物質(鉛やクロムなど)もあるというのも忘れないようにすべきです。これらは、マイクロプラスチックとなって南極や北極、プランクトンや魚だけでなく、人の便からも見つかっています。
実は、まだ海に存在するはずのプラスチックごみの量について根本的なことが分かっていません。ミッシング・プラスチックと呼ばれますが、これまでに生産、廃棄されたプラスチックのうち、少なく見積もっても「4500万トン」が海を漂っているはずなのに、実際には多く見積もってもわずか1%にすぎない「44万トン」しか漂っていません。

マイクロプラスチックやナノプラスチックとなって、見えなくなってしまったり、生物の体内に入ってしまって消えている(ように見える)のかも知れませんが、99%のプラスチックがどこに消えたのか分からないというのは、ちょっと恐ろしい気がします。
〇燃やしてもリサイクル!?
日本では、焼却処分の際に出る熱を発電などに利用した場合、それは「焼却処分」ではなく「リサイクル」に分類するのだそうですが、世界標準ではリサイクルとは認められていません。日本の「リサイクル」のうち7割が熱回収であり、本来の意味でのリサイクルは2割ほどしかないのだそうです。まぁ、それでも先進国並みだということでした。
さらに、日本のプラスチックごみでリサイクルに回った242万トンのうち、6割が輸出されており、国内のリサイクルに回ったのは全体の1割にすぎません。国内でのリサイクル率は8割などと言われるようですが、ただの数字のマジックであり、真のリサイクル率は思いのほか低いというのは不都合な事実として頭に入れておきましょう。
家庭菜園に使うマルチにも、少し値ははりますが、生分解性プラスチックのものがあります。Amazonで探してみると、PBAT(ポリブチレンアジベートテレフタレート)とPLA(ポリ乳酸)でできているということでした。しかし、本書によるとポリ乳酸は60℃以上の高温で、周りに水分と酸素がないと分解しないそうです。確かに、Amazonのレビューには、使い終わって鋤きこもうとしたが絡みついてできなかったというコメントがありました。生分解性プラスチックは、その辺にポイ捨てしても消えてなくなる魔法のプラスチックではないということも知っておくべきですね。
なお、バイオマスプラスチックの「バイオ」は、生産の過程を示してるだけで、プラスチックの原料が生物由来ですよという意味であり、石油由来のプラスチックと同じように分解しないものもあるので注意です。
〇マイバックにしたからエコ?
持ち歩き用のバッグは、レジ袋よりしっかりできているぶんだけ、たくさんのプラスチックが使われています。つまり、処分するのに50倍の二酸化炭素を出す場合、50回使わずに買い替えたり、乱暴に扱って破れてしまったりすれば、全く意味がないということです。マイバックにすればエコという訳ではないことも知っておきましょう。
また、植物などを原料にしたプラスチック成分を25%以上含む袋や、使い捨てになりにくいと考えられる厚さ0.05㎜以上の袋などは例外となりますが、上記の通り、それが本当にエコかどうかはよ~く考える必要があります。
プラスチックごみは、たとえ細かく砕けても分解されない物質だということですが、過去記事「菌のパワー」ではポリウレタンを分解する菌もいましたよね。
著者さんも、やがてはプラスチックを食べる微生物がごくありふれた存在になるのかも知れないが、それには何千万年、何億年と言う時間がかかるだろうと述べています。
日本は、ゴミの管理はある程度高い水準で出来ているとは思いますが、いかんせん、災害の多い国です。東日本大震災では、津波により多くのプラスチックが海に流れてしまいました。つまり、日ごろからプラスチック製品のリデュース・リユース・リサイクルをして、プラスティックを使わないよう心掛けることが大事だということが分かりました。私にできることとして、まずは、家庭菜園に使うものを天然素材にしていきたいです。
