今回は、「身近な花の知られざる生態」(2016年)を読みました。
著者さんは過去記事「お野菜マメ知識」と同じ方で、一部内容がかぶっている部分もあったので、読みやすかったです。
花の世界を知るのは面白いなと思ったので、気になった花についてまとめたいと思います。

マメ科植物は、根に根粒菌を持つため、空気中の窒素を取り込んで、植物の成長に欠かせない窒素を供給しているということは、家庭菜園をする人には常識だと思います。
この、マメ科植物と根粒菌との関係は、実は共生ではなかったそうです。実際は根粒菌はレンゲに感染しようとして、レンゲの根の中に侵入したものの、レンゲに取り込まれてしまっているらしいということでした。
根粒菌は、ふだんは空気中の窒素を取り込んだりしません。ところが、レンゲの根の中では空気中の窒素を取り込んでレンゲに供給します。レンゲの方も酸素を運搬するレグヘモグロビンという物質を作り、根粒菌に酸素を効率よく運び、根粒菌を奴隷化して働かせているということです。
最近は、稲刈り後のレンゲ畑を見ることもないなぁと思いました。

パンジーは、英語で『ラブグラス(恋の草)』と呼ばれるそうです。花びらが、キスをしているように見えることから、ロマンチックな名前になったのだそうです。一方、日本では江戸時代末期に伝えられ、呼ばれた名前が『人面草』…パンジーの気持ちはいかばかりだったでしょう(笑)
さて、そのパンジーはとても賢く、昆虫を試すように花びらに蜜のありかを示す目印をつけたそうです。そして、ハチは他の昆虫に比べて頭が良いので、この目印を理解することができ、花の奥深くに隠された蜜に到達できるということでした。
おバカな虫はお断り!という矜持すら感じます。

アヤメとカキツバタ、ハナショウブの三種はとても見た目が良く似ていますが、名前もややこしいことになっています。ショウブもアヤメも、漢字で『菖蒲』と書きます。そして、この先はあまりにややこしいので、引用させてください(笑)
ハナショウブは、サトイモ科のショウブに葉が似ていることから名付けられた。ところが、これだけでもややこしかったのに、ここにアヤメが登場する。あろうことかサトイモ科のショウブは、万葉の時代にはアヤメ(文目)と呼ばれていたのである。これは、剣のような形をした葉が並ぶようすが文目模様に似ていることから名づけられたといわれているのである。
(中略)
ところが、やはり同じような葉を持ちながら、ショウブにはない美しい花を咲かせる植物が登場した。それが、現在のアヤメ科のアヤメである。一説には、アヤメ科のアヤメは花の文様が文目模様であることに由来するとも言われているが、ショウブ科のアヤメがすでに存在していたことから、アヤメ科のアヤメの名も、葉の形によるという説が有力である。
…アヤメは自分の名前を今、どう思っているのでしょうね(笑)

ミズバショウも自分の名前をどう思っている?と聞いてみたくなる名前を持っています。ミズバショウは英語では『スカンク・キャベツ』と呼ばれるそうです。サトイモ科の仲間は、肉穂花序と呼ばれる棒状の花を咲かせハエを呼び寄せて花粉を運ばせます。そのため、多くは腐った肉のような匂いを出すのだそうです。
スカンク・キャベツはもともとサトイモ科のザゼンソウを指す呼び名でしたが、ミズバショウもこのザゼンソウの仲間だったので、『アジアン・スカンク・キャベツ』と呼ばれたということでした。
ミズバショウは、『スカンク』の汚名を晴らすべく、白い美しい花を咲かせ、良い香りを出しています。にも関わらず、集まってくる昆虫はハエが多いそうで(笑)そのことをどう思っているのか本人に聞いてみたいものです。

チョウセンアサガオの別名は『きちがいなすび』だそうです。毒成分のアルカロイドを持つ有毒植物であり、誤って口にすると神経が錯乱するためこの名前が付けられました。チョウセンアサガオは南アジア原産の熱帯植物ですが、世界中で毒草として扱われており、外国からやってきたという意味で「朝鮮」とつけられただけなのだということでした。
チョウセンアサガオのアルカロイドには、副交感神経を麻痺させる作用があり、江戸時代に華岡青洲がこのチョウセンアサガオを使って世界発の全身麻酔手術に成功したそうです。少し調べてみると、母と妻に麻酔薬を飲ませ、副作用で妻が失明するという事故を経て、麻酔薬「通仙散」を完成させ、1804年に世界で初めて全身麻酔下で乳がんの手術に成功したということでした。そのため、チョウセンアサガオの花は日本麻酔科学会のシンボルマークとして用いられているそうです。
『きちがいなすび』ではなく、もっと良い別名でも良かったんじゃないかな~なんてぼやいているかも知れませんね。
