今回は、「キャベツにだって花が咲く~知られざる野菜の不思議~」(2008年)を読みました。
私も野菜を育てていますが、知らないことばかりでとても面白い本でした。特に勉強になったマメ知識をまとめておきたいと思います。
カブは紀元前から栽培されていた古い野菜ですが、中国で発達したアジア系のカブとヨーロッパで発達したヨーロッパ系のカブの二つに大別され、日本には中国からアジア系のカブが伝えられました。ところが、東日本を中心としてヨーロッパ系の特徴を持った在来種が広く存在しているのだそうです。そのため、日本ではアジア系のカブとヨーロッパ系のカブを素材として、世界にも類を見ない多用な品種が作られたということでした。
どうしてアジアに存在しないはずのヨーロッパ系のカブが、古くから日本に存在したのか?シベリアを経由して北方から伝えられたと考えられていますが、いつ、どのようにして日本に伝えられたのかは謎のままだということでした。
私はこれを読んで、過去記事「アマテラスの暗号」にあった、日ユ同祖論(日本人とユダヤ人は祖先が同じであるという仮説)を思い出しました。いったい誰がどんな目的でヨーロッパのカブを日本に持ってきたのでしょうね。想像が膨らみます。
メロンの起源地はアフリカのニジェール川流域だそうですが、メロンの種子が弥生時代の遺跡から沢山出土しているそうです。今でも瀬戸内海や九州北部の島々に雑草として自生しており、熟してもウズラの卵程度の大きさにしかなりませんが、実や種子を食べたり、栽培も行っていたのではないかということでした。
今私たちが食べる大きな高級メロンは明治時代に日本に入ってきたものですが、イネと同じ頃にメロンも日本に来ていたというのには驚きですね。「ザッソウメロン」で検索すれば、弥生時代に食べられていたメロンの写真が出てきますよ。
鳥を最もひきつける色は赤だそうです。そのため、様々な植物は赤い果実を夢見ながらアントシアニンの紫色とカロチノイドの橙色の色素を巧みに使って、少しでも赤色に近づけようとしているのだそうです。真っ赤に見えるりんごの赤い実も、二色を組み合わせて赤色を出しているそうです。

トウガラシの赤色もカプサンチンというカロチノイドですが、動物や昆虫に食べられないように辛味物質を発達させたそうです。鳥は辛さを感じる味覚がないため、トウガラシを食べても平気なんだそうです。そのため、トウガラシは鳥だけに食べられるように動物に食べられない赤い実をつけるようになったということでした。
ところが、トマトはほかの果実の苦労をよそにリコピンという真っ赤な色素を持ました。これが赤すぎるために「毒がある」と200年も人間に忌み嫌われていたそうです。
私たちも野菜の好き嫌いがありますが、野菜も食べられる相手を選んでいるということですね。
人間がまだ夜行性の原始的なサルだった頃、昆虫を食べて生活していました。もちろん、この頃はまだ野菜は食べていません。昆虫と言うのは、必須アミノ酸やビタミン、ミネラルをひととおり持っており、必要な栄養素をバランスよく摂取することができました。
やがて、地球が温暖になり森林が広がると、昆虫食から果実食のサルに進化します。しかし、果実食は栄養に偏りがあります。そのため、オランウータンやチンパンジーなどは昆虫をよく食べるのだそうです。ところが、果実から豊富過ぎるほどのビタミンCを摂取していた果実食のサルは、体内でビタミンCを作り出す能力を失ってしまいます。

人類誕生の地であるアフリカ大陸では、雨が降らなくなり、森が消え草原が広がりました。果実食であった彼らは草食動物のようにかたい草を分解・吸収するような特殊な消化器官はなく、肉食動物のような牙や爪もありません。草原に生えている草の実や草の根だけではタンパク質などの栄養分が足りません。そのため、サルたちは肉食動物が食べ残した骨の髄などを食べていたと考えられるそうです。
肉食獣の目を盗んで食べ物を安全な場所まで運ぶため、前足で食料を抱えて運びました。そう、この逆境が直立二足歩行を可能にしたのです。その結果、脳や手を発達させ、道具を使うことを覚え、武器を使って獲物をとることができるようになりました。
肉を分解するためには酸を多く含む消化能力の高い胃液が必要です。しかし人類は肉食動物の1/20の濃度の胃酸しか持ち合わせておらず、肉食にはなれませんでした。しかし、火を使うことを覚え、硬い植物も軟らかくして食べられるようになったことで豊かな食生活を実現しました。何でも食べられるようになったのと引き換えに、バランスの良い食生活を組み立てなければならなくなったということです。
お肉もお魚もお野菜もフルーツも、バランスよく食べないといけませんね。それが嫌なら昆虫食がおすすめです!
今年の秋冬は、大根、キャベツ、ニンジン、ブロッコリー、ホウレン草、ニンニクを育てています。著者さんは人参にアゲハチョウの幼虫がついて、「ニンジン」と書いてあった札を「キアゲハ」に変えたということでしたが、葉っぱをかじられていないか、卵をうえつけられていないかチェックしないと、あっという間に食べられてしまうので、蛾だろうと蝶だろうと、本当にイモムシさんは大嫌いです!(笑)
野菜達も動けないなりに、種を残そうと色々な進化をしていて面白いなと思いました。人間に野菜として栽培されるような植物は、種の戦略としては大正解なのかも知れません。
