今回は、「社会のために生きたいあなたへ オーガニック入門書」(2024年)を読みました。
オーガニックというと、食品のイメージしかなかったのですが、本書を読んでそれだけではないということが分かったので、まとめたいと思います。
著者さんは青年海外協力隊としてボリビアで2年間活動を行い、誰かの苦しみのもとに農作物が作られ、そのうえに食品産業が支えられ、そして最終的に私たちの食卓に食事が届く、という食料生産に潜む闇を見てきたそうです。

出稼ぎ労働者の多くは元々アンデス山脈地域にて農業で生計をたて暮らしていた人たちで、騙すようにして農地に労働者として連れて来られます。そして、家や安全な水、トイレも何もない不衛生な環境の中で1日平均14時間、週7日休みもなく働き続けます。労働者たちはコカ(葉からコカインが抽出される)とアルコールが支給され、強制的に「ギラギラ」と働かされ、収穫時期が終われば解雇されてしまいます。アンデスの家に帰ることもできず、路上生活者となり、多くの人が病気やアルコール中毒、栄養不足などで死んでいくのだそうです。
日本にいては想像もできないような環境ですが、これが現実なのだということは、目を逸らしてはいけないと思いました。
著者さんが見た、ボリビアの大規模農園で栽培されていたのはサトウキビだったそうです。過去記事「砂糖の世界史」でも歴史的に奴隷が使われていて、自然環境的にも問題が多い、にも関わらず消費は増え続けているという危険な食物でしたね。
日本もサトウキビの6割を他国から安く輸入していたということで(2023年の主要輸入先は、豪州およびタイでした)、知らず知らずのうちに自分も搾取に加担してしまっている可能性がある訳です。SDGsとかフェアトレードとか言葉だけ知っていても、これでは世界が良くなるわけがありません。
日本では、「健康にいい」という狭義のオーガニックが注目されますが、著者さんは、オーガニックの真価は、社会、地球、未来世代にとっていいという、ソーシャルベネフィットにあると述べます。オーガニックはSDGs17項目、ほぼすべてを達成するツールであり、多くの社会課題や環境問題を解決する可能性があることを示すエビデンスが世界中で報告されているそうです。

IFOAMのオーガニックの定義(有機農業の原理)では、次の4つの原理からなると定められています。
- 健康の原理:人・植物・動物・自然環境すべての健康を保つ
- 生態的原理:農業は自然の力を活用し、生態系を守る
- 公正の原理:すべての命がありのまま尊重される
- 配慮の原理:すべての命の健康や幸福を脅かさない技術を使う
つまり、オーガニック商品はサプライチェーン(種苗会社→生産者→加工業者→流通(卸売・小売)→消費者)に登場するすべてのもの(自然環境、人・動植物・虫・微生物などすべての命)の幸せが確保された状態でなければならないということです。オーガニックは、「すべての命を幸せにする仕組み」なのだそうです。
日本もこの定義に準拠してオーガニックが認定されるそうで、単に農薬を使わないだけなのかと思っていた考えは改める必要があるとわかりました。
そして、オーガニック商品とは食品だけではなく、化粧品や衣類など多岐に渡ります。オーガニック商品は日本ではまだ少なく、認定には多額の費用が必要だったり、民間認証しかなかったりと消費者が選ぶのも難しい状況のようです。

しかし、日本は単位面積当たりの農薬販売量でOECD諸国中で世界第1位であり、欧州では認可されない危険な農薬も認可されているなど、国産だからと言って安全とは言い難く、家族のためにもオーガニックや有機野菜を選んでいかなければならないと思いました。ひとまず、家庭菜園を頑張って、色々な野菜を自分で育てられるようになりたいですね。
本書を読んで、自分のオーガニックの認識がとても狭かったことを知りました。そして、オーガニックというのはただ農薬を使っていないというだけでなく、その作物に関わる全ての人を幸せにすることが認められているものなのだということが分かりました。これからは、オーガニックを積極的に選んでいきたいし、そのような人が増えると良いなと思います。
