今回は、「物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術」(2023年)を読みました。
私は、学外実習に出る歯科衛生士の学生さんに対して、いつも実習指導者の立場から見た実習生をイメージさせた上で、「施設の敷地に入ったら仮面をかぶれ、あなたの素で行く必要はない」と言っていたのですが、本書は自分のキャラを設定してなりきることで、それが自分になっていくという話でした。とても勉強になったし、ぜひ私も自分のキャラを作って人生に役立てたいと思ったので、参考にしたいところをまとめたいと思います。
「俺はいいけどYAZAWAはなんて言うかな」
これは、矢沢永吉さんの言葉です。「矢沢永吉さんという個人」と「キャラクターとしてのYAZAWA」は違います。YAZAWAは一つのプロダクト(商品)であり、矢沢永吉さんはYAZAWAというキャラクターを、自分で演じているわけです。

私たちもなりたい状態に近い人の性格を想像し、そういう性格の人がしそうな行動をしていきましょうということでした。
「自分とはなにか」を考えるよりも、なりたいキャラを考え、そのキャラがしそうな行動をリストアップし、ひたすら行動していくほうが、いきいきと自分が生きたいような人生を楽しめるようになるはずです。
自分は自分の行動を見て、自分の性格を判断しており、行動を変えれば、性格を変えることができます。しかし、禁煙やダイエットと同じで、意志力だけで行動を変えようとすると失敗します。
著者さんは、周りからの扱われ方が変わる→自分の行動が変わる→自分の性格が変わるというプロセスがあると述べています。つまり、 個人の性格ではなく状況や環境によって行動が変わり、性格までも変わってしまうということです。また、社長をすることで自分の行動や性格が変わったように、人は立場によって性格や行動が変わるとも述べています。「自分を変えるならまず環境を変えよう」というのは、要は「周りにいる人」を変えよう、ということだということでした。

まさに、「WHO NOT HOW (フーノットハウ) 「どうやるか」ではなく「誰とやるか」」(2022年)だなと思いました。
環境を変える時は、自分のなりたいキャラだったらどんな場所にいて、どんな生活をしているのかを考えます。その人の持っている経歴を分解してみると、その人が所属するコミュニティが見つかるかもしれません。しかし、何者でもない人がいきなり理想的なコミュニティに入るのは難易度が高いものです。

人生、ビジネス、成功には3つのドアが用意されており、長蛇の列ができている正面入り口のファーストドア、VIP専用のセカンドドア、そして、裏道を抜けた先のサードドアがあります。お金もコネもない人が成功するためには、ほかの人と違う方法、つまりサードドアを探さないといけません。本書にはその具体的な方策も色々と書かれていましたので、知りたい方はそちらを読んでくださいね。
そして、理想のコミュニティに入ったら、うまく周りを味方につけましょう。クイックウィン、つまり、最初は絶対に勝てるところで勝っておく方が大事です。大変革を狙うと、必ず反発に会います。

小さな勝ち、毎日挨拶をするとか掃除をするといった行動と小さな成果をいくつか積み上げて信頼が集まってから、より大きなことをするようにすると、新しい環境に馴染みやすくなるということでした。
これは、過去記事「社会学の古典を学べ」の エドマンド・バーグの『フランス革命の省察』から学んだ、社会も人間も複雑微妙であるため、改革とは少しずつ改善を積み重ねることであり、抜本的改革は失敗するという話だなと思いました。
本書にはどんなキャラを作るといいのか、つまり、なりたい自分を探すワークが載っていて、時間はかかりそうですが、これはぜひやってみたいと思います。意志の力で性格が変わり行動が変わるというのは間違えで、環境を変えて、行動を変えていたら性格が変わっていくというのが正しい自分の変え方ということがよくわかりました。そう考えると、そんなに難しいことではない気がしてきます。なりたい自分のキャラ作り、やってみたいと思います。

