今回は、「パッション・パラドックス」(2020年)を読みました。
パッション・熱意の育て方や扱い方について勉強になったので、特に気になったところをまとめたいと思います。
本書では、パッションの良い面だけではなく、悪い面があることも説明しています。情熱はドーパミンと関連しており、悪いパッションは、依存やバーンアウトを引き起こします。深刻な依存症の人とスポーツで金メダルを目指したり、巨大企業を築こうとしたりする人の間には共通点が多いということです。

このような悪い情熱を遠ざけ、好ましい調和的情熱とともに生きるための原則、本書で言う「熟達思考」を手に入れるための要素を以下のように示しています。
- 内面から湧き上がる意欲をいだく
- 結果よりもプロセスを重んじる
- 順位よりも成長を目指す
- 失敗を受け入れる
- 忍耐力をはぐくむ
- 目の前のことに集中する
この中でも特に、プロセスを重んじること、目の前のことに集中することが参考になりました。
目標を立てることは大事ですが、特定の目標に集中しすぎると、ほぼ例外なく害の方が大きくなってしまいます。レースに勝つなど自分がコントロールできないことを目標にした場合はなおさらです。成長することを究極の目標にすべきなのだそうです。
熟達思考の持ち主は、特定の目標を達成できたかどうかではなく、どのくらいそのプロセスを実行できたかどうかに着目します。目標は終着点ではなく進むべき方向とするべきです。熟達思考では、長期にわたって自分を成長させ続けるためには、何をすれば良いかといったことに関心が向くのだそうです。自分でコントロールできる目標に近づくためのステップを定めた後は、目の前のステップを達成することに集中すればよいため、プロセスを重んじることは悪い情熱を避けることにもつながります。

目標の立て方が大事だなと気付かされました。目標に執着してしまうと、不正や違反をしてでもとなってしまうし、自分がコントロールできない目標では目標達成が運に影響されてしまい、自分の力でできたという達成感は得られませんね。
プロセスに集中していると自分が努力していることを実感することができます。内面から湧いてきた充実感や自信、満足感というのは、誰にも奪われることがありません。目の前のプロセスに集中することで、常に落ち着いた心持で、モチベーションを維持することができます。
ほとんどの時間、人は自動運転状態で過ごしているそうです。どこに、どのように注意を向けるのかを意識的に選択することができていません。しかし、重要なものごとがすべて注意を向けられるわけではなく、注意を向けられるものが重要とみなされます。情熱をもって何かに取り組みたい時は、スマホなどの関心を吸い取られるようなものに影響されない環境を作るべきです。

子育てでよく言う、スモールステップですね。目の前のことに集中するのは言うは易しで、環境を意識して整えなければならないなと思いました。
著者さんはその経験から、大きな結果を挙げている人たちはほぼ例外なく、活動の対象に全面的にのめり込むことにより幸福感と充実感を味わい、最高の日々を送っていると語るのだそうです。つまり、情熱をいだきつつ、バランスの取れた人生を送るのは非常に難しいということです。自己認識を持ち、自分の情熱について冷静に判断し、必要に応じて方向転換したり、自分にブレーキをかけることで悪い情熱に傾くのを防ぐことができます。
情熱は人生のバランスを奪うかも知れませんが、それにより自分の人生をコントールする能力が奪われるとは限りません。自己認識を持つことで、人生全体を通して自分の人生をコントロールできるようになると良いということでした。
これは、衝撃的でした。確かに、過去記事「渋沢栄一」で渋沢栄一も、仕事と家庭を両立しているとは言えない状況でした。
自分の人生を考えた時に、ず~っとパッション!というのも疲れるし、人生で何かに熱中した時期が全くないというのも寂しいなと思いました。人生は、バランスですね。
一人称ではなく三人称で起きた状況を考えることを「セルフ・ディスタンシング」といいます。様々な研究により、感情が高ぶりやすい状況で思考と感情をを切り離し、慎重な分析と意思決定ができるようになることが明らかになっているそうです。
つまり、自分の情熱について、誰か他人のことだと仮定して評価してみることは、視野を広げ、自己認識を高め、自分の人生を俯瞰してみることができるということです。日常の常識を超越した現象に触れるような活動(キャンプや芸術鑑賞など)や瞑想も近い効果があります。
これは、メタ認知のことですね。目の前のことに集中する時間と、リラックスして人生を俯瞰的にみる時間を意識的に作らないといけないなと思いました。
本書を読み、子育ての目標、例えば〇〇大学に入れるとか一流企業に就職させるというのは、親にコントロールできることではないので、絶対やっちゃダメだなと思いました。目の前のことに集中し熱中するのは良いですが、それだけでなく、同時に視野を広げて俯瞰してみるのを常に忘れてはいけないのだということが分かりました。
