今回は、「バッタを倒しにアフリカへ」(2017年)を読みました。
著者さんはもともとアフリカでの体験をブログに書かれていて、それらを本にしているため、その時々に起きたことやその時の感情をリアルタイムで見ているような臨場感で、とても引き込まれました。
ここまでバッタに魅せられた日本人がいるんだと驚いたので、本書を読んで驚いたことをピックアップしてまとめたいと思います。
まず、著者さんはバッタを研究する研究者なのですが、研究する中でバッタアレルギーになってしまったそうです(笑)バッタが触れた皮膚は蕁麻疹が出て、ひどい痒みに襲われるそうです。
いや、普通バッタ研究は諦めますよね?
ところが、著者さんはアフリカで大量発生し、農作物に甚大な被害を出しているサバクトビバッタを研究するため、モーリタニアに渡ります。
そして、実際に群生に遭遇した時には、緑色の全身タイツを着て、バッタの大群の前に立ち、自分を喰ってもらおうとするのだから、よほどの変人に違いありません。まぁ、バッタには総スカンをくらい、ドライバーさんにも何してるんだ?と訝しまれるのですが。

モーリタニアの話で驚いたのは、女性は太っているほど魅力的だということです。「ガバージュ」と呼ばれる、少女時代から強制的に太らせる伝統的な風習も今だに行われており、泣いて嫌がっても専用の器具でつねったり、ビンタしたりして無理矢理食べさせ、太らせるのだそうです。
モーリタニアに生まれなくて良かった…ファグラかよと思いました。
また、現地でゴミダマという虫を研究しようとして、ゴミダマを食べに来た野生のハリネズミにエンカウントし、ペットにしてしまいます。しかも2匹。
息子がハリネズミを飼いたいと前から言っているので、ハリネズミってアフリカに生息しているんだ〜、虫を食べるんだね〜とこちらは地味に驚きました。
さて、著者さんが研究しているサバクトビバッタですが、相変異という現象を起こすそうです。孤独相と呼ばれる普段のおとなしい緑色のバッタが高密度下で発育すると、群生相と呼ばれる黄色と黒の目立つ色(幼虫)になり、群れを成して活発に動き回ります。

成虫では1日あたり100km以上移動し、行く先々の農作物を食べ尽くし甚大な被害を及ぼします。大発生すると数百億匹が群れ、天地を覆いつくすのだそうです。年間の被害総額は西アフリカだけで400億円以上にも及びますが、現地でのフィールドワーク研究はほとんど行われてきませんでした。
著者さんがモーリタニアを訪れて数年は大発生に出会えず、無収入になっても現地に留まったことでようやく大発生を観察・研究することができます。もちろん著者さんは大喜びで追跡し、群れは国立公園を出たところで防除部隊に駆除されました。地を這う幼虫(1か月弱)の間に見つけて駆除するのが良いのですが、人手不足なのと、地雷があったり、国境があったり、内政が不安定だったりなかなか駆除するのは難しそうでした。殺虫剤を大量に撒くので環境への悪影響も心配ですね。
無収入になった著者さんは、京都大学の白眉プロジェクトに応募します。白眉プロジェクトのHPには、以下の説明が書かれています。
このプロジェクトは、優秀な若手研究者を年俸制特定教員(准教授、助教)として採用し、最長5年間、自由な研究環境を与え自身の研究活動に没頭してもらうことにより、次世代を担う先見的な研究者を養成するものです。
この書類審査を通過し、面接へ進みます。面接では、少しでも面接官に印象を残すため、眉を白くして臨んだそうです(笑)。著者さんらしいですね。
京大松本総長との面接では、「過酷な環境で生活し、研究するのは本当に困難なことだと思います。私は一人の人間としてあなたに感謝します」という言葉をもらい、泣きそうになります。(私も!)
もちろん採用が決定し、超難関の白眉研究員になりました。
本当に面白い本でした。何と言っても文才!多分真面目に研究されているのですが、いつも本気なのかボケているのか分かりませんし、現地の人にだまされまくったり、ゴキブリやノミがアパートで大量発生したり、サソリに刺されても薬はもらえず祈られたりと、本当に過酷です。でも、何だか軽くて、いつもちょっと楽しそうなんですよね。
アフリカのバッタの被害を食い止めるべく、これからも研究を頑張って欲しいなと思いました。
Kindle Unlimitedあるあるですが、著者さんの新刊が出ているみたいですよ。

